2019年5月30日木曜日

ある小説と記念館

20171122


 今、読んでいるのはベストセラー小説である、といえばさしずめカズオ・イシグロの本か、と思われようがそうではない。ベストセラー小説といったが、それは平成29年ではなく今から約100年前、大正九年出版のこの本である。一説には数百万部売ったというから当時としては空前の大ベストセラーである。

 現在、半分くらい読み進んでいる。小説としても面白いが、徳島の近代史、昔の生活・風俗、昔の徳島の方言、古い地名など、私が知りたい百年昔の徳島のことがちりばめられていてそちらの観点から読んでも大変面白いし勉強になる。夏以降、百年前の徳島の生活・風俗を勉強するためモラエスはんの本を読み漁ってブログにも紹介したがこの本についてもお勉強できたことを、またブログに紹介したいと思っています。

 今日はその本の著者の記念館が地元にあるので、まだ小説は読み切っていませんが、記念館に行ってきました。

 記念館ホールの賀川豊彦の銅像、この日は冷たい雨で入ったとき、入館者は他に誰もいなかった。

 小説は脚色はあるものの自叙伝的な筋立てである。一人称で語られる主人公の性格、思想、学習遍歴、恋愛、宗教体験などは著者自身をなぞっているとみてよいと思う。さて、記念館にいって一番知りたいのはそれらのことではない、それらはこの本を精読していけば(当然私の読解力によるが・・)自ずからわかってくるだろう。見たいのはビジュアルな記念館の展示物である。とくに著者がどんな姿、顔をしていたかに興味がある。

 小説の中で一人称で語る主人公の言葉とは別に、主人公の姿や顔が第三者の若い女性によって繰り返し、『美男子』、『美少年』というように叙述されている。また本人の言葉にも、自分は美青年だと、いうような記述がある。よほど著者には顔に自信があったのだろうか(もちろん若い時だが)。それとも思春期特有のうぬぼれだろうか、客観的に見てどうなんだろう?近代の小説家の中では、若い時、男前やなぁ、と思わせるのは志賀直哉や太宰治などがいるが(永井荷風も私の感覚ではイケメンとおもうが)、わが徳島の生んだこの著者はどうだろう?まあ、そんな疑問をもって、記念館の展示を鑑賞してきました。

 さあ、これが記念館に展示されていた学生から青年期にかけての写真です。どう思われます。



 

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