鴨島町には歴史上有名な廃寺がある。『川辺寺』である。何度か私のブログでも取り上げた(有名な歴史絵巻、一遍上人絵伝にも登場する寺である)。また神社でも古代から由緒ある『呉羽神社』という神社が廃社となっていた。
先日、その廃社を探して行ってきた。参考にするのは郷土史の大まかな地図しかない。すでに廃社となっているので建物も敷地も残っていない。しかし、その場所には石碑が立っているそうである。だいたいの目星をつけてそれらしい場所に行き、まず外に出ていた地元のお年寄りに聞いたがよくわからないという。しばらくうろうろしていたが外に出て歩いている人がいない。家の戸を叩いてまで聞くものはばかられる。見渡すと少し向こうの畑で作業をしている親子がいる。近寄って昔の廃社『呉羽神社』の跡地を聞くと、ああ、それならウチの裏じゃわ。と言って作業を中断して案内してくれた。恐縮し、何度もお礼を言う。
その『呉羽神社』の跡地の石碑、表面は文字が読めない。
裏面に神社の由緒が書いてある。
ご神体は「呉羽比目」(くれは姫)。女性の神様だ。それもそのはず、この神社は機織り女性と関係があるのである。日本書紀によると、応神天皇37年春2月、呉の国より漢織・呉織が来て、唐人の地(飯尾の瓢箪谷の東北の地域、まさにここ)で綾織を織らしめた。とある。綾織を織る織姫を神として祀ったのも頷ける。
この日本書紀の記述から古代、この辺りは綾織の技術をもった渡来人が住み着いたと考えられる。この場所の小字名は「唐人」、渡来人が住み着いた場所の名前にふさわしい。
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