元寇の役をモティーフにした歴史ゲームのリアルさについて書いているが今日はヒーローの鎌倉武士の見目・形についてそのリアルさを考えてみる。
まずヒーローの騎馬武者の正装である。このようになっている。
鎧甲冑を身に着けた正式の重装の騎馬武者である。元寇の役の騎馬武者を同時代に描かれた絵巻物(蒙古襲来絵詞)で探すと
ほぼ正確。元寇時代の武闘が中心のゲームだけに鎧甲冑は史実に基づいていると考えられる。
このヒーロー、対馬の友軍が全滅した後、一人で神出鬼没、元軍に対するわけだが、その時は動きにくい「重装の甲冑」はつけていない軽装である。江戸時代の宮本武蔵風だが中世にそのような身なりはありか?やはり絵巻物で探してみる。
まず、そのヒーローの格好はこのようなもの
綾藺笠(あやいがさ)をかぶり、蓑で背を覆っている。同時代の一遍上人絵伝で探すと、まずよく似た笠が出てくる。だからこれは正しい。
背に背負う蓑だがこれは中世絵巻で旅人はこのような姿をして旅行している人が多く頻繁に出てくる。からこれもあり。絵巻物で出てくるいくつかの例を示す。
次に服装だがこれは見るところどう見ても江戸時代の武士そのもの。中世の武士の普段着も正装も「直垂」か「水干」のようなもの、この袴は違和感がある。
当時の武士の服装、直垂、水干
他に武士の魂(こんな言葉が広がったのも江戸時代からだが)である刀、これも握り手の装飾といい比較的まっすぐな刀身といい、これは近世の刀剣である。鎌倉時代の刀はもう少し反りがあるし、もちろん握り手の装飾も違う。
この時代、旅行する武士は刀の鞘に毛鞘を巻いて使っている。このヒーローも直垂に、反りの強い刀を差し、下の絵巻に見るような毛鞘を使えばいかにも鎌倉時代の武士っぽく見えるのに残念。
同時代の武士の刀の毛鞘
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