2019年5月28日火曜日

まじめなアジア時代劇は清朝ものにかぎる その2

20160821

 皇帝の色と宦官

 左は華流ドラマにおける皇帝(雍正帝)、右は実際の雍正帝(清朝に使えたイタリア人画家が描いた肖像画)、顔はともかく皇帝の衣装はかなり忠実に描かれています。


 見てわかるように皇帝の衣装の基本色は輝くような黄色です。これには意味があります。天地の色は中国の思想では五色に分けられます。陰陽五行思想からきています。五色とは、黄、黒、赤、青、白、です。この色には方向があります。黒は北、赤は南、青は東、白は西です。じゃあ、黄色は?黄色は真ん中なんです。つまり東西南北を治める皇帝は真ん中に鎮座し、その色は黄色、とまあこういう解釈になるわけです。

 中国文明の源流は黄河流域、このあたりは中原の地と呼ばれ、中国文明のまさに中心地、ここを流れる河は黄色の濁流、また土地も黄土、皇帝の中心地の世界は黄色なんですね。そんなことからも世界の中心にいる皇帝の色が黄色ということになったんでしょうね。

 次に宦官。

 金玉とチンポを切り取って宮廷に使える男?の使用人です。ドラマを見ると背を丸め腰を低くして宮廷の主人の横にいます。歩くときはチョコチョコ歩きます。そしてみょ~にビブラートの聞いた猫なで声を発します。これも史実そのままです。歩き方や声の質は去勢(金玉チンポを取り除く)したからこうなるようです。右端の赤帽子、青い服を着たのが宦官。


 若い宦官、もちろんドラマだから本当に去勢した男ではないのですが、清朝時代の写真に撮られた宦官の雰囲気に良く似てます。体も顔も厳つい男性とは対極になります(中性化する)。

 まずは本物の宦官(100年以上前の写真、かなり高齢になっている)


 下はドラマの宦官、うんと若いがこれも60年くらいたつと上のような宇宙人みたいな顔になるんだろう。どうです、雰囲気よく似てるでしょ。


 この宦官たち、けっこう悪なんですね。中国数千年の歴史では宦官の悪弊は尽きることはありません。清朝では他の王朝と違ってわりとましなんですが、それでも

 賄賂を取ったり(侍女が宦官に渡しているのは袖の下、銀塊です。)


 時には命令で妃を密かに殺したりもします。右は締めながら妃を引きずっていき、左の井戸に生きたまま放りこみ殺す。おとろしいですね。(今も紫禁城に行けばこの妃を放り込んで殺した井戸が見られますよ)


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