毎日毎日暑い日が続いています。南国徳島の夏ですから当たり前といえば当たり前なんですが、たまには涼しい夏をすごしたいと思いますね。ああ~、どっか涼しい夏のところへいきたい。どっかにないもんか!それは無理な注文ではありません。日本の北方域は涼しいわけで、北へ北へと旅をすれば夏も涼しくなる。こんなことは古代中世の日本人も知ってました。ただし距離は相当隔たっています。千キロ以上も北へ旅すれば猛暑の夏ともおさらばです。日本の今の地方で言えば東北北部、北海道でしょうか。
今だと飛行機で一っ飛び、二時間もかからずにいけましょうが、江戸時代だとそんなものはない。歩くか、船に乗ってゆっくりいく以外ない。ここ阿波の国からだと一ヶ月くらいかかってしまう。そんな北方域へ阿波の国の人が手ん頃安く旅をするはずがない。とも思えましょうが、それがそうでもないんですね。ここ阿波の国の人が江戸時代に北方域に向けて進出しているのです。まあ、物見遊山の旅は滅多にありませんがね(ぜんぜんないとは言い切れないのが江戸時代でかなりの金持ちで暇のある風流人もいたかもしれません)。はるばると北方域へ出かけたのは主に商人、船の船頭、乗組員です。
西回り日本海航路が開発され、大坂やここ阿波の港(撫養)から蝦夷地へと貨物や人が運ばれたのです。下が西回り日本海航路です。
蝦夷地とこの四国阿波との間で人モノが動きます。だから昔からワイらのお国では結構蝦夷地の産物は一般的に出回っていました。干した鮭や塩引きの鮭、昆布、阿波特産の藍の肥料としての鰊の〆粕、そして一般的ではありませんがお殿様や武士が欲しがった鷲の尾羽、勢力の衰えたおっさんが大金を出しても是非にと欲しがるオットセイのペニスなんどもそうでした。
さてそこで江戸時代人がそんな日本の北方域に「北方ロマン」を感じていたか?ロマンといえば明治以降の言葉ですからこの時代にそんなものはありゃしません。だから言い換えるなら、夢、憧れ、驚異などというものでしょうか。夢、憧れ、といってもまるっきり架空の話しやおとぎ話ではありません。先ほども言ったように、江戸時代、ここ阿波の国から蝦夷地は意外と身近だったのです。北方の産物が多く流通しているばかりじゃありません、もしかすると撫養あたりに住んでいる親戚の人が北前船に乗って蝦夷地へ行っていたかもしれません。何かの機会にあった時、蝦夷地の面白い話もしてくれたでしょう。
また蝦夷地を相手に商売をする船乗り兼商人もいました。そんな中、大きな儲けになることに目をつけこれから蝦夷地へ向かおうとする人、あるいは蝦夷地との商売を始めようとする人にとって蝦夷地は実現可能な夢であったに違いありません。またそんな話を聞く子どもにとってはめずらしい蝦夷地は憧れでもありました。
そんな夢や憧れをかきたてるようなものが蝦夷地、さらには北蝦夷にはありました。具体的にそれは日本の地方にない産物、動植物、風景、風土などであります。リンちゃんは北方探検に行く前にそれらのことについても言及しています。
ワイらかげでこそこそ言いよったがこんな動物ホンマにいたんじゃ
おおっぴらにゆうたら、引っ掴まって首が飛ぶ噂、江戸の公方様の話し、オットセイのように絶倫じゃということ、そんなオットセイなんか話でしか知りまへんが数十匹のメスを囲い込んで大奥のようにしてるっちゅうことですが、鬼や龍の類で架空のことばかりかと・・・、でも聞くと、北方の海域にはホンマにこんな動物オッたんでんなぁ、いや~、めずらし!
阿蘭陀正月のジングルベェに出て来よる動物もおったんや
長崎留学した蘭方医の話しでは、長崎の阿蘭陀人は阿蘭陀正月を祝うそうでんな、ジングルベェたら言うそうです。なんやいわれはようわからんけんど、その祝い事の図の中に太った白髭の爺さんがソリにのって出てきます。ソリはワイらも知ってますし、利用もしますがそのそりを動物が牽いてます。その動物がまた見たことも聞いたこともないもんですわ。普賢菩薩はんの乗り物の象以上にワイらにとって珍しいもんですわ。それが北蝦夷のオロッコ人が飼いよるらしいんですな。図も描いてます。
鮭ってそんなに獲れるもんかいなぁ
正月用の塩鮭は高いもんですが祝い事ではりこんで買います。一本丸ごとでは銭では買えん、銀何匁の高値です。それがなぁ、蝦夷地では信じられんほどとれるらしいんですわ。鮭はワイらの地方ではすんでまへんから知らん人も多いんですが、川を遡るそうでんな、それがなんと、秋が来ると川面が見えんくらい仰山、押し合いへし合いで登るそうです。朝の通勤の山手線やないっちゅうんや!向こう岸までいっぱいでその上を歩いて渡れるというてました。それはちょっと眉唾やけんど、川に無造作に手をグッと入れるだけで手づかみにできるのはホンマらしいです。いって獲って来たいですわ。
海が凍るって、どんだけ寒いんじゃ
蝦夷地の東の海とか北蝦夷の海は凍るそうですな(厳密にいうと流氷だが)、一面白い氷でビッシリ、歩いて渡れるそうです。日本の海では冬がどんなに寒かろうがこんなことはありませんわ。まったくめずらしいもんですわ、ちょっと見てみたいですな。
永久に凍った土地があるんですな、聞いただけでサムなりますわ
夏が来ても解けん、年がら年中凍った土地ですわ。表面は木々はなく、夏だけ草地、或は花畑になるようなところでところどころ沼地が点在してます(今日ではツンドラ地帯といわれる) 地中はガチガチに凍っているためいろいろな不思議な現象が起こるそうですわ。
(年平均気温が0度以下だと永久凍土帯になる条件ができる)、確かに北蝦夷(樺太)は0度以下になってます)
0 件のコメント:
コメントを投稿