中国語の入門講座が終わって3カ月たった。あとは視聴覚機器なぞも利用しつつ独学で・・・なんぞとカッコいいことをいっていたが、さてその成果は?
恥ずかしいことにほとんど進んでいない。単語帳を利用して個々の単語を覚えること、そしてその個々の単語に例示されているそれぞれの例文を読むことを主眼にしているがピンイン記号と四声を機械的に覚えるのは面白みがなく、こういうやり方はいけないのかな、と思う。やはり口と耳を使う会話中心の勉強のやり方の方がいいのだろうが、毎日持ち歩いて開けてみるのは例文つき中国語単語帳の方ばかりで会話のテキストやCDは眠ったままである。
単語帳でいくらピンイン記号や四声を覚えたところで実際に自分の口から正確に発音できなければ駄目である。ときどきは発音練習もしてはいるが、なにぶん自分一人の唯我独尊的なやり方で、中国人に聞いてもらってなおすこともできないから自分流のみょ~な発音に定着してしまっていると思われる。
発音の中で特に私の苦手なのはいわゆる『そり舌音』である。ピンインで表すと、zhi chi shi r である。そんなかでも特に私が発音し辛いのは、r 音である。これ、ローマ字や英語のRとおんなじだと思って発音してはダメである。まるっきり別の発音文字と見た方がいいのだが、入門当初はどうしてもそのRと書いてあるアルファベットにひかれてローマ字や英語読みのR音になってしまう。
このピンイン記号のr 音は zhi の発音に近いのであるとこの頃ようやく分かった。
実はこのそり舌音の zhi chi shi r 、正確に発音できるのは中国の中でも北京の人である。そしてその次に上手なのがいわゆる中国の北方方言を話す人である。ここでちょっと中国の方言地図を見てみよう。
この中で「官話」と図示されているのが北方方言である。北方方言の人はそり舌音をわりと正確に発音できるが、それ以外、中国地図の南方地方にゴチャゴチャある呉語、広東語、湘語・・・などの方言は、いや方言というより独立した言語といってよいだろう、(なんせその相違はイタリア語、フランス語、スペイン語の間くらいの違いがあるのだから)、これらの言語にはそり舌音がないのが多い。
じゃあ、そんな地方の人が標準語の r を発音するときは、どないするか?若い人なら真似て学習できようが、田舎のじいちゃんばあちゃんは無理である。そんなガチガチの田舎方言の人が標準語話者に、 r を聞き取ってもらう時には、代わりに j 音を発音するのである。 j はそり舌音でないため中国の南方の田舎もんやワイら日本人でも容易に発音できる。聞いた標準語話者は、「あ、こいつ訛っとるわ」と思うが、 r と言いたいんやな、とわかるのである。
確かにそうであると思い当たる。中国語で「日本」はピンインで、rì běnと書く。お便利旅行会話集、に日本のことをカタカナで「リーベン」なんどと書いているが、実際に発音を聞くと「リー」ではなく「ジー」の方に近く聞こえる。
そいでわかったあことがある。13世紀、イタリアからマルコポロっちゅう人が中国の今の北京近くに来て、そこで日本国名を聞いて見聞録を描き、その中の国名、ジパングがJAPANになったが、そり舌音ができない人がRIをJIと聞いて表記することは上でのべたようにあり得ることである。「日」の発音がJIになり「本」はBENではあるが、ご存知の通り、中国語でPとBは一対のものである、外国人が聞くと、BEN PENはごっちゃになるから、つまりマルコポロは、自分の言語の発音体系でJI PENと聞いたのであろう。
なぁるほど、そいで日本の呼び名は世界でJAPANになったんやな。
0 件のコメント:
コメントを投稿