2011年10月6日木曜日

湯けむり旅情 その3 ここは天寿国の温泉か

 人生の中で学生時代、まあこの場合、高校生か大学生の時期をさすのだが、は一番いい時期である。何をしても楽しかったという印象がある。
 そんな学生生活を人生で2度楽しめたら、こんなに素晴らしいことはないだろう。といっても高校を卒業して後にまた別の高校に入るというようにして高校生活を2度楽しむ人はまずいない。

 再び学生生活を楽しむには大学である。社会人になってから思うところあってもう一度大学に入ったり、あるいはもっと上級の大学院へ進む人は結構多い。

 私も30代になって再び大学(大学院)に入学した。勉強をしたかったという動機もあったが正直、
 「学生生活よ、もう一度」
 という不純な動機が半分を占めていた。

 ちょっとヒネタ学生となったが、若い学生に混じってコンパや旅行などを楽しんだ。

 そのおっさん学生の一年目の冬休み、九州へ車で一人旅した。
 学生の身分であるというのは有難いもので、普通は社会人になったら恥ずかしくて泊まれないようなボロ公営宿舎やユースホステルを利用しての安上がりの気ままな旅であった。

 もちろん学割もできるだけ利用させてもらった。当時の私は30代とはいえ若く見られていたので何度も浪人し、そのままだらだらと居残った大学院生で通用した。

 その旅の中の印象深い温泉である。

 その日は明るいうちに阿蘇の巨大なカルデラの北の縁にある「大観峰」を見た。
 その外輪山から北へ少し行くとやはり高原状になった瀬ノ本高原がある。
 その高原の公営宿舎で泊まったのである。
 冬のシーズンでかつ冬休みは終わっていたので客は少なかった。私以外は全員二十歳そこそこの男4人と、やはり若い女性ライダー一人であった。

 九州とはいえ標高1000mの高原の冬はかなり冷え込む、夕食後、少ない泊り客はホールに集まりストーブを囲んで話に花を咲かせていた。

 食事の前に宿舎の人が寒々とした宿舎の風呂に入るより、この高原を西に下りたところにある黒川温泉に入ったらどうでしょうか、と勧めてくれた。高級旅館の露天風呂付き温泉に500円で入れるという。それで全員が行くことにしていた。

 ホールで雑談したのは出発の時間待ちのためでもある。やがて時間が来たので宿舎のヘルパーさんが運転する小型マイクロバスに乗って高原を下り黒川温泉に向った。

 この時まで私は「黒川温泉」という温泉を知らなかった。しかしこの頃、泉質の良さや、温泉宿が素晴らしいということで人気が出ていた温泉であった。

 ついたのは黒川温泉の中でも最高級の和風旅館である。宿泊すればン万円はするであろうが、温泉のみの利用だと500円、それで高級温泉旅館の温泉に浸かれて、旅情を楽しめるのだから安いものである。

 さて、その旅館内の温泉、大旅館だけあって幾種類もある。一番お勧めはもちろん大露天風呂、この旅館の露天風呂は囲むように建てられた日本旅館の中庭のど真ん中にある。
 まわりは奇岩や樹木で覆われ、かけ流しのお湯の滝や小川もある。
 何よりも私が気に入ったのは、時節柄、椿の花がたくさん咲いているのである。それが露天の上にトンネルのように枝がかかり、時折、椿がポタリポタリとお湯の上に落ちてくるのである。
 見るとそこかしこ椿の花が浮かんでいる。

 このような情景、何かで読んだことがある。確かこういっていた。

 「まるで天寿国(極楽)のお湯のようだ。」

 伊予の道後の湯につかった聖徳太子でなかったかしらん?・・

 しかし、次にこんな感動を吹き飛ばすようなことがおきました。
 この大露天風呂、実は混浴だったのです。しかし、混浴が嫌いなレディーなためこじんまりした女性用の露天もあるのです。
 当然、一緒にやってきたたった一人の若い女性ライダーもその女性露天に入っているものと思っていました。

 われわれ5人の男は大露天に入りましたが誰もいませんでした。そのため露天に浸かるだけではなく、滝や小川に模した岩場を歩いたり、腰掛けたりしてはしゃぎながら楽しんでおりました。

 と、そこへななななな・・んと、すっぽんぽんのぽん、のライダーの彼女があらわれたのです。手にはタオルを持ってましたが恥ずかしがって隠す風でもなく自然な体勢で少しくねらすようにして湯船に半身浸かりました。

 この彼女、若い時の大信田礼子(若い人は知らんでしょうな)似の野性的な顔立ちで、プロポーションは抜群に良かったことが思い出されます。

 一度女性に聞きたいんですけど、こういう大混浴風呂では女性の方が自然に何気なく振る舞えるものなんですか?混浴ということで羞恥を消すというスイッチが切り替わっているんですか?

 この時、私などは固まってしまって、顔だけポカンと馬鹿のように湯から突き出たまま動けませんでした。

 見ものだったのはそれまでは猿のよう岩場を駆け回っていた一番若い(たぶん十代と思う)男は岩場にしゃがみタオルを腰にさっと掛け陰部を隠しました。女性が隠さずに自然に湯に入ったのにね!

 すると夜目にもはっきりと見る間にモッコリとタオルがテント状態になって上へ向いていきます。大げさや誇張ではなくホントに見事なくらい、あっという間の変化でした。

 若い女性のすっぽんぽんにも同じく若い男の子の元気立ちにもどちらも驚きました。

 後で聞くとこの黒川温泉の大混浴露天風呂は若い女性も恥ずかしがらずに入浴している「穴場」だそうです。

 ほんとにここは天寿国の温泉でした。
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4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

 イラストの女性の手の形が気になるのですが、私だけでしょうか?そんなことよりもここいい所ですね!今度ジョイの慰安旅行でみんなで行きますか?やまさん計画してみてください。女性は全員参加でお願いします。(^.^)/

yamasan さんのコメント...

 九州の温泉は行かれたことがあるのでしょうか?白山火山帯、霧島火山帯が集まり、いい温泉がたくさんあります。

 どこかいいところへ就職して会社負担で黒川温泉へ慰安旅行に行けたらいいですね。個人だと観光も組み合わせると高額になります。
 しんさまの今の会社は慰安旅行などという前世期のよき制度はないんですか?

 私の同級生たちは定年を迎えました、いい会社、公務員だったので莫大な退職金、年金を手にしてます。こんな身分だと全国温泉三昧でしょうね。うらやまし(=_=)

Unknown さんのコメント...

 九州はメジャーなところでは鹿児島の林田温泉くらいですね。マイナーなところでは、妻の実家が九州の高原町なので近くの極楽温泉とか、鹿児島の親戚のさつま町(旧宮之城)の?温泉です。
 今の仕事は全員休めるような勤務でないので、慰安旅行はあり得ませんです。冬に4~5人でスキーに行く計画はあります。(^.^)/

yamasan さんのコメント...

 極楽温泉、知りませんでした。九州はあちこち行きましたが知らない温泉もあるんですね。
 林田温泉、高原町、宮之城も行きました。霧島から上椎葉、五木、阿蘇と脊梁山脈を北上しました。懐かしいなぁ~

 そうそう、全く正反対の「地獄温泉」に確か南阿蘇で入りましたよ。おかげで今、地獄を味わってます。「極楽温泉」に入っとけばよかったなあ。(>_<)