2011年1月1日土曜日

新しき 年の始めの

 暮れから続く寒波で日本列島はどこも冷え込んでいます。日本海側は当然の大雪で元日のNHKの朝と昼のトップニュースは鳥取県の大雪に関するものでした。米子なんかは観測史上最高の積雪とのことでした。
 わたしの住んでるところも南国とはいえ昨日の積雪と低温で、北側の屋根や影になったところではまだ雪が解けずに残っています。元日は家でゆっくりする人が多いのが救いですが、今日は風も強く、外を歩いていると凍りそうです。

 元日に鳥取地方での大雪を聞いてある歌を思い出しました。鳥取県は旧国名を二つ含んでいます。ちなみに伯耆の国と因幡の国というんですけど、その因幡の国に奈良時代、1300年ほど前、国司として赴任した有名な万葉歌人がいます。大伴家持です。
 万葉集は全20巻、総数約4500首の多くの歌が集められています。その万葉集の一番最後に来る歌が今、紹介しようとしている歌です。元旦に因幡の国府で、たぶん降る雪積もる雪を見ながら家持が作ったと思われます。
 この時代の人にとって日本海側の大雪は当たり前のこと、除雪をしてでも車に乗って走りたいなどという現代人とは違います。雪で閉じ込められれば家にいて春から使う農具の製作、藁製品の製作など家内仕事をしました。農業が主たる生計だったこの時代の人々にとって農閑期である元日に積もる雪が多いことは、厭うべきことではなく、むしろ歓迎することでした。積雪は山々に春を越えて初夏に近いころまで水源の涵養水として蓄えられるものでした。稲作にとって水は大切なものです。積雪は大雨と違い山の斜面に留まり暖かくなるに従い徐々に解けて農業の水を適宜供給しました。
 この時代、大雪は厭わしいものではなくむしろ望ましいものであったということを心にとめておいて歌をご鑑賞ください。
 
 このブログを読んでくださっている皆様にこの歌に込められている吉事が多からんことを祈り、新年のごあいさつに代えたいとおもいます。

新しき 年の始めの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事
(あたらしき としのはじめの はつはるの きょうふるゆきの いやしけよごと) 

1 件のコメント:

ワンピースファン ルフィと仲間たち さんのコメント...

西暦の新年明けましておめでとうございます。
昨年は、いろいろと教えていただき
特に、ブログでの歴史などなどありがとうございます。
かなりの寒気で冷え込みますがご体調はいかがでしょうか。
正月早々、雪の影響で各地で大変な事になっていますね。
徳島県西部もかなり雪が降っていたようですね。
どうぞお体ご自愛下さい。
本年も、健康にご配慮いただきお過ごし下さい。
よろしくお願いします。