2011年1月28日金曜日

地獄の口が開く

 今、夕方の4時50分。4時過ぎ西へ歩いていてある天文現象を見た。その話の前に次の絵をご覧ください。
 15~16世紀に活躍したボッシュの油絵である。
 上は「狂女フリート」
 下は「地獄」
 である。
どちらの絵も上部は炎で赤く染まっており、陰気で幻想的な絵と相まって不気味さを醸し出している。
 
 地獄は、普段はこの世界と峻別され、決して行き来することができない。
 もし、その境界が突破された時、その割れ目からは地獄の業火が吹き出し、亡者や魑魅魍魎どもがこの世に湧きだし恐ろしい世界となる。

 この2枚の絵は、この世にまさに、地獄が現出した世界を表している。

 なぜ今日、このような絵なのか。

 何日か前から報道されているが、今日のお昼のニュースではトップ扱いだった
「新燃岳の噴火」   
 である。

 かなりの噴火で、降灰は大規模に及んでおり、被害が出ている。このままおさまるかどうかはわからない。

 実は、私をひどくおびえさせているのは2年前に読んだ石黒耀の火山小説『死都日本』の影響である。

 内容はフィクションだが、火山学者から、九州全域を壊滅させる大噴火は今までにもあり、これからもある。そしてこのような被害の大噴火はいつ起こっても不思議ではないといわれた。ありうべき噴火の小説である。

 この小説の大噴火もこの新燃岳の場所である。
 不吉な予感を感じる。


 『死都日本』は科学的データに忠実に書かれている。この付近は超巨大カルデラが隠れていて、千年単位だが、大噴火を起こす。縄文時代から数えると日本人の歴史は一万年以上だから、過去において我々の先祖が何回か体験している。
 その被害規模は一つの民族を絶滅の縁にもたらすほど深刻なものとなる。事実、縄文文化は絶滅こそ免れたものの衰退し大きく変化する。
 
 小説の大噴火は、阿蘇以南の九州、3県に壊滅的被害をもたらす。特に宮崎、鹿児島両県は大火砕流でほぼ全滅する。身の毛もよだつような恐ろしい被害が記述されている。
 この小説が恐ろしいのは、何度も言うが、科学的に全く正しく、いつ起こるかもしれないことである。数千年単位とはいえ、昨日今日かもしれないのである。

 今、夜に入った新燃岳は火口から真っ赤な溶岩を噴き上げている。夜に入って天を覆うばかりの黒雲の噴煙は目立たないが、その黒雲は雷光をはためかせ、真っ赤な火口めがけて稲妻が走る。
 まさに上のボッシュの地獄の口が開いた世界の到来を思わせる。

黙示録のようなカタストロフィの予兆でなければいいんですが。

 それで私が見た夕方の天文現象である。おそらく高空の非常に細かい火山の噴煙の影響と思われる現象が次の写真である。
 晴れているのに空は白く、ぼんやりしている。太陽はまぶしさを失い、やけに白っぽい。そして太陽の直径の何十倍もの白い大きな円がぼんやりした太陽を取り巻いている。
 国家(中国では天子)に凶事が起こるとき
 「白虹日を貫く」
 と言われた、具体的にどんな天文現象だろう?これがそうだというわけではないが、不吉な天文現象のような気がする。
 はずれてくれることを祈る。

黒点は太陽、露出過多で暗転してる。























この時刻だと赤みががらなければならないが、全体に白っぽく異常。
 高空に多量の微粒子の浮遊を感じる。

































『死都日本』、講談社からでてます。科学的な小説で、起こるかもしれない前提に書かれています。興味のある方は読んでみてください。

2 件のコメント:

yamasan さんのコメント...

 さっき夜のニュースで新潟の魚沼が今朝、全国一の積雪を記録したといってました。ここは、この間まで読んでいた「北越雪譜」のまさにその場所、聞いてて感慨にふけりました。高さなんと360センチ!この下に、街あり、と立札を立てるのも、ほら話ではなさそう。
 これからまた大寒気団がやってくるとのこと。寒さにご用心を!

てるゆき さんのコメント...

僕の、松戸の友達の母親が、長岡生まれで、昔は、雪が三メートルぐらい降ったが、さいきんは、一メートルも降らないとよく、5~6年前、言ってましたが、今年は、豪雪です。
今年は、近年まれに見るさむさですね。
まだまだ、今年は寒そうです。