2011年1月11日火曜日

鳥居龍蔵展示を見ての独断的感想

 鳥居龍蔵が人種学、民族学に興味を覚えたのは幼少の頃、本で世界には5大人種がいると挿絵入りの解説を読んだからだと紹介されている。幼少の時の大きな感動や疑問が後のその人の人生を方向付けることはよくあることである。
 私も子供の頃は、どうして同じ人間なのに黒人や紅毛碧眼の白人がいるのだろう。身体的外見は我々とずいぶん違うが、心なんかは同じなんだろうか。なんで喋る言葉もちがうんだろう、と不思議に思ったものである。
 鳥居龍蔵はこのような子供の時の疑問をあたため大人になって人種、民族学を研究し、成果をおさめたのである。
 
 彼が勉強を始めたのは19世紀末、その学問の定義や対象、目的、手段は欧米から学んだものである。この欧米からの学問であるということに注意しなければならない。当時の世界情勢は欧米による帝国主義の時代である。20世紀の初めまでには、世界の有色人種の地域は後発の非欧米国でもある日本も含めた列強(帝国主義国家と言ってもいいだろう。)に分割されるかあるいは勢力下に入ってしまう。
 そこでそのような支配を正当化する論理が出てくる。今から考えると、なんと傲慢な思い上がりか、と非難されるが、当時は声高に叫ばれていた。それは
 「未開な民族を我々の手で文明化し、幸福にしてやらねばならない。それが我々文明諸国の責務だ。」
 欧米諸国は自分たちの西洋近代文明がもっともすぐれた普遍性を持つものであり、それを敷衍していかなければならないと信じたのである。
 自分たち以外の様々な民族や文化に対して、平気で「未開」という言葉を冠して使ったのである。未開民族、未開文明・・・・などなど。

 そのような世界情勢の中にあって、さまざまな民族や文化を研究する人種学、民族学が欧米人種・欧米文化優位という先入観が付きまとっていたのはやむを得ない思われる。人種学では頭骨が研究対象になるが、例えば、アフリカ、ニューギニアの人の頭骨を調査し
 「このような原始的な形態が額部、眼窩に残っている。」
 「頭骨のこの部分により類人猿に近い形態が見られる。」
 恐るべきレイシストという莫れ、20世紀初頭にはいわれていたのである。今でこそ我らすべての民族は同じ種であり優劣はないが、当時は劣等人種はいると声高に言わない学者でも大部分は本音ではそのように考えていたのである。
 1945年までのナチスドイツの人種政策を補強したのはドイツの人種学、民族学であったことを思い出してもらいたい。程度の差はあれ昔のこの分野の研究者で全く色眼鏡なしで人種や民族を研究できたか、疑問に感じるところである。
  
 鳥居龍蔵がそのようなレイシスト、差別主義者というつもりはないが、一般的に言って、人種学、民族学は学問の分野でも一番時代による制約影響を受ける学問である。研究成果は純粋に中立的なものであっても、国家やある機関に利用されることで帝国主義的支配の助けとなるかもしれない。事実そのようなことは多い。成果は成果として、どの部分が都合の良いようにその筋によって利用されたか、見極めが大切である。

 大日本帝国は、欧米型の帝国主義的国家として版図を広げ、その「帝国」は東アジアに君臨した。その中には、多くの民族を含んだ。
 北方、樺太にはアイヌ、オロッコ、エベンギ、ウイルタ、ニブフなど6民族以上。
 台湾には漢民族のほか13民族の高地山岳民族
 赤道に接する南洋諸島にも3民族以上が
 租借地である大陸の遼東半島部には、満州族はじめ少数民族が
 傀儡国家の満州国にもモンゴル、ツングース系諸民族が
  
 実に25以上の民族を「大日本帝国」は含んでいたのである。
 彼は大日本帝国の版図拡大に合わせるかのようにこれらの民族を調査研究し成果をあげたのである。
 
 ちょっと卑近な話になりますが、今でも時々、懐メロで
 「わたしのラバさん」(私のラバさん、酋長の娘、色は黒いが南洋じゃ、美人・・・南洋民族
 「イヨマンテの」   アイヌ民族     
 を聴いたり
 「オロチョンの火祭り」の行事を見たりしていると
 ああ、昔は、日本も帝国だったんだなあと思います。
オロチョンの火祭り・樺太

 
 


南洋ヤップ島
 

 

3 件のコメント:

yamasan さんのコメント...

何故か夕べは2時前から眼が冴えたのと、頻尿で寝られません。今日は頭がボー。でも、緊急外来の世話にならなくてホッ。
 足を上げたつもりでチェーンを跨いだら、上げれてなくて、絡み付きこけた。寒さで縮こまったんじゃなく、歳のせいか?
 

てるゆき さんのコメント...

今日、三好市のほうで、緊急雇用、2ヶ月間ですけど、ゴミの分別収集の指導の募集がありましたよ。今日も、ハローワークに行きましたが、なかなか求人ありませんが、何かやらないとと思っております。今、自分自身こういう状況なので、できませんが、タイガーマスクのニュースを聞くと、暖かいいい気分になります。怪我や、体調にお気をつけください。

ワンピースファン ルフィと仲間たち さんのコメント...

北海道ではアイヌ民族からの
いろいろな伝統や文化がありますんで。
ハスカップと言う実のジュースとジャムが
印象にあります。

ワンピースは、
Youtubeで、ワンピースアニメ1話で検索してみて下さい。
10分刻みですので
1/2 ・ 2/2 など 1話づつ分かれています。
ルフィ達の経緯が分かります!
DVDは6話やビデオは4話くらい1本単位で
レンタルされています。