2019年6月1日土曜日

古い神社を求めて

20180726

 モラエスさんがよく通った墓参りの道は今そのまま残ってはいない。しかし伊賀町からもっとも眉山山麓に寄った道をとって北上するとだいたいモラエスさんが日課にしていた墓参りの道と重複していると思われる。平成病院(前の逓信病院)から平成調理師学校前を通る小道を通り八幡神社の境内を横切り偕楽園前~瑞巌寺前そして新町小学校の校庭の端を通り、天神社まで続く道である。去年のブログでそのコースは紹介した。
 ここでモラエスさん当時の地図を見てみよう。モラエスさんの墓参先は地図の北の端「潮音寺」である。


 勢見山からこの眉山東麓にかけては当時も今も墓や神社仏閣が多い。その眉山東麓には北から八坂神社・天神社・・・と並んでいる。黄色の丸で囲んだ神社仏閣は今も存在しているが、モラエスさんの家から一番近い神社の「多賀神社」(赤丸で囲っている)が今は存在しない。この多賀神社どうなったのだろう?廃社したか、あるいは移転したか(最近では護国神社が城山山頂から市内勝浦川に近い雑賀町に移転した)。この辺りは江戸時代から神社仏閣が多かったが明治大正と時代が進むにつれて小さな(檀家や氏子が少ないかあるいは有力な後援者がいない)寺や神社は廃れていった。この多賀神社もその廃れた寺社の一つだろうか。

 移転したのか廃社になったのか調べてみた。県立図書館の徳島県総神社要覧を見てみる。現在徳島県で「多賀神社」と名前のある神社はたった一社のみである。場所は徳島市内大松町となっている。そもそも「多賀神社」とはどんなお神様なのだろう。ウィキでは次のように説明している。

 「多賀神社(たがじんじゃ)は、イザナギノミコト(伊弉諾尊)とイザナミノミコト(伊弉冉尊)を祀る神社。全国に二百数十社ある。総本社は、滋賀県犬上郡多賀町にある多賀大社。これは古事記の伝承に基づくものである。
イザナギ・イザナミは日本神話の最初に出てくる神であり、その神徳は幅広い。商売繁盛、家内安全、厄除け、無病息災、夫婦円満などがある。」

 総本社が滋賀県多賀町にあり各地に支社が作られているのがわかる。徳島県にはたった一社のみである。神社要覧には社名と所在地が書いてあるのみで移転云々などは書いていない。県立図書館でほかの神社関係の資料にも当たってみたがわからない。しかし県内には一社しかないのでその一社を調べれば、モラエスさんの時代にあった多賀神社が移転して現在大松にある多賀神社になったのか、そうでなく古くからそこにあった神社ならモラエス当時の伊賀町の神社は廃社になっているとわかる。所在地はわかっているので行ってみることにした。神社には境内にその神社の由来由緒などを書いたものが掲示してある場合もある。そんなものがあればわかるだろう。

 徳島駅から自転車で走るが、木陰などで休息と水分補給をしつつ時間をかけながら約40分ほどで大松川を渡る。ググルアースで前もって調べた道を行く。ストリートビューで見る限りでは小さな神社のようである。しばらくして神社は見えてきたが参道がわからない。どこやろ?わからないので水路と畑の端を通って神社の境内へ入る。


 思っていたよりずっと小さな神社だ。境内は狭いが銀杏の木が二本植わっていて横には水路が流れ、境内全体を木陰が覆いヒンヤリしている。真夏の暑さの中オアシスのようなところだ。


 最近できたばかりの立派な鳥居が立っている。ちゃんと多賀神社の額がかかっている。


 こちらは古くて立派な狛犬さんだ。年号を見ると安政四年とある。160年も前だ。神社が移転したならこの狛犬さんも同時に移したはずだからこの年号が古くからここにあった証拠にはならない。


 見回してみたが縁起、由緒書のようなものはなかった。



 正式な参道はぐるっと遠回りをして勝浦川土手に出てそこから降りる石段がそうである。


 結局伊賀町にあった神社の移転先かどうか断定はできない。近くに古老でもいれば聞くのだが真夏の昼の田園地帯、農作業をしている人もいない。だれかこの神社の由来に関して知っている人がいたら教えてください。私の心証としては十中八九伊賀町の神社とは別の、昔からあった神社ではないかと思うのだが。(そうすると伊賀町の多賀神社は廃社ということになる)

 帰りは勝浦川の土手に出て潜水橋を渡り、津田に出る。土手には鬼百合の派手な花が咲いていた。


 そのまま津田の勝浦川の河口まで自転車で行く。河口の南に見える岬は大神子の岬である。


 昔は津田の海岸に海水浴場が開かれていたが今は埋め立てて産業団地になっている。海岸の松林はずっと手前の内陸部になってしまった。


 帰り道、津田の旧町筋を通っていたら、お亀神社があった。これってあの「お亀磯の伝説」と関係あるんか知らん?たしか津田沖に沈んでいるという伝説やから、この神社もしや。


0 件のコメント: