2011年9月25日日曜日

よいこの科学ならぬよい爺の科学その1 光速度不変の原理は破られたのか

 昨日の新聞ニュースの科学欄を見たら注目すべきニュースが載っていた。ウィキにその要約が掲載されていたので引用させてもらう。

 『光速より速い実験結果
 2011年9月23日CERNで特殊相対性理論に反し光速より速いという実験結果が発表された。「国際研究実験OPERA 」のチームが、人工ニュートリノ1万6000個を、ジュネーブのCERNから約730km離れたイタリアのグランサッソ国立研究所に飛ばしたところ、2.43ミリ秒後に到着し、光速より60ナノ秒(1億分の6秒、ナノは10億分の1)速いことが計測された。1万5000回の実験ほとんどで同じ結果が示された。これは環境の影響や考え得る測定誤差をはるかに超える値である。鈴木洋一郎東大教授は、「1987年小柴昌俊先生が観測したときは光とほぼ同時に観測したので、その結果と矛盾する」という。未知の性質の発見を表しているかどうか注目されている。2007年に米国で同様の結果が発表されているが、誤差が多かったという。OPERAチームは声明の中で「この結果が科学全般に与える潜在的な衝撃の大きさから、拙速な結論や物理的解釈をするべきではない」とし、検証を呼びかけた。また、日本がスーパーカミオカンデで人工ニュートリノ飛行実験をしていることから、日本の実験結果も注目されている。

 ようするに「ニュートリノ(素粒子、昔は中性微子と呼んだ)の速度が光速よりわずかながらも早いという実験結果が得られた。」という話である。

 「あそう、ずいぶん早いものを作り出し飛ばしたんだね。」

 という印象で終わってしまいそうだが、これは実は大変なことなのである。
 
 私が中学生の時にG・ガモフ著「不思議の国のトムキンス」というジュニア向けの相対性理論・量子力学の解説書を読んだ。非常に面白い「読み本」形式の本で友人からシリーズものの一冊として借りたが、内容に引き込まれ、友人に頼んで次々と貸してもらい徹夜して読んだ記憶がある。

 ジュニア向け科学啓蒙の本だから別に徹夜しなくてもさらりと読める本なのであるが、他の分野のジュニア科学本と違い相対性理論や量子力学を扱ったこの本は中学生にとって非常識な話がてんこ盛りで、理解し頭に入れようとするとページが前に進まないのである。
 もちろん最も常識が通用しないのは相対性理論の中の「速度によって時間の進み方が違う」というものであったが、一番理解に苦しんだのはそこではない。「時間の遅速」は別のもっとも根本的なある原理から導かれるものであり、私にとってはその根本原理の方の理解が重要であり、中学生の頭で理解しようと苦しんだのである。
 その原理は『真空中の光速度不変の原理』である。平たく言うといかようにしても光速をこえる速度を出せるモノはあり得ないということである。

 光速度不変の原理を認めるならば中学生でもわかる数学的思考により次の式が導かれるこれについては次回のテーマとします)

 次の式である。

静止している観測者の時間の刻み幅をΔt とする。運動体の時間の刻み Δt'

vは速度、cは光速度、
 

 もし速度vが光速に近づけばルートの中は限りなく0に近づく、光速と同じ速さになると左辺のΔt'は0、つまり運動体の中の時間は完全に静止することになる。
 また光速を少しでも超えたらΔt'はマイナス(二乗すれば。この式だと虚数になる)になる。つまり時間は逆に流れるか、少なくともあり得ぬ時間の流れになる。

 しかし光速度不変の原理があるため、光速以上にはならず、したがって「時間」が静止することもなければ逆に流れることもないのである。

 ところが昨日のニュースではわずかながら光速を超えたという。たとえわずかでも上記の式はマイナスとなり時間が逆に流れる。
 そんなことがあり得るならば、先日のブログで取り上げた「ワームホール」を利用しなくても過去にさかのぼる「タイムマシン」もできてしまうのである。

 「ホンマに光速を超えられたんかいなぁ?」・・・・・・疑問じゃ!

 次回もつづきを取り上げます。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

 人の心は高速度をはるかに超えれると思いますが、いかがなものでしょうか?宇宙の端の無限遠点から、原子の中の無限の中心点まで、考えられる範囲を一瞬にして跳んじゃうんですよ!これって速度じゃないのかな(~_~メ)

yamasan さんのコメント...

 デカルトさんは物心二元論を唱えています。
 「物質」界は「延長」のあるもの(すなわち大きさ重さがある、当然、距離もある)、「精神界」は「延長」のないもの、後者の世界では何億光年の距離とは無関係にモノゴトは飛翔します。

 大昔の人もわかっていたのでしょうね。瞬時に移動する手段を。
 上田秋声の「雨月物語」の「菊花の契り」を読むとよくわかります。

 『戦国の時代、一夜の契りをかわした義兄弟が、菊の節句の9月9日に会う約束をする。
ところが、義兄の身は敵の手にかかり、牢へ閉じこめられてしまい、帰るに帰れない。約束の日に是が非でも逢わなくてはと、義兄は昔の人の言葉「人の魂は一日千里をも走る」を信じ、自らの命を絶って約束を果たすというあらすじ。』

 ※上記の勇猛な武士同士の「一夜の契り」、いろいろ解釈はありますが、戦国の風習、死をも厭わない結びつきを思うといわゆる「男色関係」と見るのが一般的です。今の「ガチホモ」「ハードゲイ」の類か。
 そういえば、かなり昔「おやじ、涅槃で待つ」などといって死んだこのような関係の芸能人がいました。