2012年2月29日水曜日

上桜温泉湯けむり終焉日記

上桜温泉、32年の歴史に幕  

 2月1日から一か月間、無料サービス入浴を続けていた我が町の上桜温泉は今日で無料入浴も終わり、そして本日をもって永久閉鎖、終焉を迎えます。
 出来た時から数えると32年の歳月が過ぎました。開泉したとき地元ということもあって入りに来たのを覚えていますが、32年前ということは私はまだ20代ということになります。

 上桜に行く坂をゆっくりゆっくり上りながら、32年の時間の長さを考えた。平安末の歌謡『梁塵秘抄』の歌の文句が浮かんできます。

 「我は何して 老いぬらん 思えば いとこそ 哀れなれ・・・」

 32年という長さは、偉業を成し遂げる人ならば、生れ落ちてから数えても十分すぎる長さだ。60を越えて何も残さぬ私はこの歌のように・・哀れなれ・・なのか?そう思う一方、何も残さぬことにさばさばしたいさぎよさも感じる。

 32年前といえば、この温泉ができたのは昭和55年だ。私のような20代後半から30代前半の若者があふれ、社会は若い活気に満ちていた。
 公共投資が景気を刺激し、経済を押し上げるというケインズ理論が深い理解もなく信じられ、国・地方公共団体はいわゆる「箱もの」に金を回し、土建業はうるおい、そこからまわりまわって確かに景気も良かった。

 その多くできた「箱もの」の一つとして上桜温泉が誕生した。しかし、今や「箱もの」は老朽化し無用の長物、赤字垂れ流しの厄介者、

 「これって、もしかして、若かった活力あった団塊の世代が今や爺やんになって老朽・長物・厄介者になりつつある相似形か?」

 年寄った団塊の世代は「温泉」が人生の楽しみになりつつあるのに、上桜温泉が閉鎖になるのは皮肉なことである。

 などと愚にもつかぬことを考えているといつの間にやら坂を登りきって温泉についた。何によらず今日で永遠におさらば、というのは無性にさびしい。

 すぐ前に迫る山を見ると、今日の終焉を名残惜しむかのような雪化粧
 フロントで鍵を渡されるのも今日が最後

 浴槽からの眺めも今日が最期だ
 
 今日を限りの上桜温泉、明日から解体・荒廃が始まる。さびしいことです。

3 件のコメント:

nagonya さんのコメント...

私も一度いった記憶があります。たぶん・・残念ですね、違ういい所見つけてください。私は3月4.5日と和倉温泉にミラクルさんといきます~

yamasan さんのコメント...

和倉温泉って能登だったかな

てるゆき さんのコメント...

日本がどんどん解体されていくような感じ?

解体ばかりでなく、夢と創造をお願いしたいです。