2011年3月16日水曜日

十年前の今日

 十年前の今日、何をしていたか?
 私は覚えている。某所で一年の臨時職員だったが結構いい給料で働いていた。ボーナスも出たため一年間で車も買えたし、かなりの貯金もできた。しかし年度替わりで臨時の雇用期間も終わるため3月は次の職の心配をしなければならないのだが、もともと楽天的な上に一年で車も買えたし金もたまったため、次のステップに向かう動機は極めて低かった。のんびりと構えていて4月から当分ぶらぶらしてもいいわ、などと不埒なことも考えていた。
 
 それで雇用も終わりに近づいた3月16日、有給休暇をとり、県南の雄大な見晴らしの温泉に行った。
 その場所をさっき、インターネットの地図で調べたら今はなくなっている。確か名前は「お水荘ヘルスピア」という大温泉保養施設だったと思う。十年前に行った時も客も少なく、さびれつつある感じだったからあれからつぶれてしまったのだろう。
 そこへいった理由は2つあった。素晴らしい見晴らしであること。ドさ廻りの旅役者のお芝居が見られることである。
 かなり早いうちに陸の孤島と言われている阿部(あぶ)にある温泉保養所に着いた。彼岸も近いこの頃、春の暖かい陽光で霞が立っていたのを覚えている。
 大展望浴場に入ったが誰もいない。私一人である。いくら平日といっても何人かは入っているだろうと思ったが、団体客が潮が引くように引き上げた後でのんびり入ることができた。
 
 眺めは最高、崖のような海岸がはるかかなたまで続き、霞に煙る海岸の遠くには鹿首岬、潮吹き岩が見えている。
 上は保養施設のあるあたりから眺めた景色である。
 温泉に満喫したあと、食堂兼劇場に入り、食事をしながら、旅劇団の股旅物の芝居を観た。こちらは団体客が坐っていて賑やかであった。

 そして十年後の今日、まさに今日から手続きのできる日となったため、午前中に佐古の事務所に手続きの申請に行った。小遣いにもならぬわずかな年金をもらうため。

 今日3月16日は私の満60歳の誕生日である。
 十年前の日には
 「ああ、半世紀生きたんだなあ。」
 と感慨に耽ったのは覚えている。しかし、ウキウキと陽気で楽しかったのもまた思い出す。

 十年前の暖かい春の日とは違う今日は冬が戻ったような小雪舞う寒い日。昨夜から体の不調も続き、気持ちも何となく暗い。遠出の温泉入浴も今はままならぬ。
 十年後はどうなっている。

言問わむ 人さえ稀に なりにけり わが世の末の ほどぞ知らるる (後醍醐帝)

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

お誕生日おめでとうございます。
お歳のことや健康のことを気になさっておられるようですが、心配いりませんです。あと1年と9か月で時間は止まりますし、その後自由に年齢を変えれるような体になりますから・・。その前に日本が沈没するかもしれませんが、ムーとアトランチス大陸が浮上するので仕方がないです。その時にはUFOが一時的に助けてくれるでしょう。と、私は考えています。

てるゆき さんのコメント...

十年後も二十年後も、ずっと元気にいてください。

やまさんは、僕なんかより、ずっと若く、考え方も柔軟です。

体調がよくなることを、願ってます。

僕なんか、仕事もないし、楽しいこともないので、時々死にたくなります。