2013年6月11日火曜日

川に水がない


 この江川は川と名づけられているが、水源からウチの家のあたりまでは川底から水が湧いて出ている『泉』である。それが下流に向かって流れているから江川は泉川とでも言っていいだろう。

 平安時代初期、空海が雨乞いの修法を行った京都の『神泉苑』とよく似ている。京の神泉苑は泉でありきれいな水が湧きあがっていて、どのような日照りにも枯れることはない。そのため空海はここに(枯れないたっぷりの泉)雨を呼ぶ龍王を招く儀式を行ったのである。

 干天でも干上がることのない泉、滝などには水の神様である龍王が住むと信じられていたのである。そしてその龍は雲を呼び、雨をもたらす。空海は神泉苑の泉で龍王招致の修法を行ったが、枯れることのない滝も龍王の住処であり、歌舞伎の『鳴神』では空海とは逆に鳴神上人が滝に龍王を閉じ込め、雨が降らないようにして人々を苦しめたのである。

 平安初期に広大な泉であった神泉苑も邸宅のため埋め立てられたり、都市化で水源が枯渇し、近世になるころにはただの池か沼のようになってしまった。

 そこで我が江川であるが、太古から私の子供時代までは昔の神泉苑のように絶え間なく水が湧いて夏冷たく冬暖かい水がたっぷりあった。ところがここ20年余りで江川の水はだんだん少なくなってきた。その悪化の程度は時とともに加速度的になっている。

  今年はとうとう梅雨の季節を迎えたのにもかかわらず、川底まで見えるくらい干上がった。今は見る影もない京の神泉苑と同じ運命をたどるのだろうか。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

 あれっ、雨が降らないから水がないだけではないのでしょうか?江川の場合はよく存じ上げませんが、都市開発ってことはないですよね。(^.^)

yamasan さんのコメント...

江川の水源に近いあたりは底から水が湧いてくる泉なのです。でも近年、水位が変化し、湧く量は少なくなっていてこの状態です。
 そのため、普通、川の水源は山にあるんですが江川は平地の低いところに水源があります。