2011年5月31日火曜日

なるほどITの起源はこんなところに

 昨日、図書館で本を借りて読み始めたが面白いので一気に読んでしまった。

副題が「IT時代を拓いた技術者たち」

 ちょっと待てよ!なになに、モールス電信士?
若い人にはちんぷんかんぷん。なんじゃそれ!
年配の人は、おぼろげながら・・・・・・・・

 モールスってモールス信号、あのトン・ツーの組合わせで文字を表すものか?
 そうそれ。
 じゃあ、電信士は、えーと・・・

 ほれほれ、西部劇で街の保安官事務所の横に
電信事務所を構え、
中では、鼻眼鏡をかけて、昔の事務員がしていた黒の手甲で肘まで覆い、よれよれのワイシャツ、ネクタイでトン・ツーの電信機を叩いてるおっさん。
 そしてそのモールスを文字に書き換え、他の街から送られた重要情報をもたらす人。

重要人物ではないがその情報の紙切れは西部劇の展開の上でキーポイントになる。
 例えば、お尋ね者「ビリー」がそちらに向かったとかいう緊急連絡。電報という。
 その電報をキーを叩いてモールス信号を相手に送る。また、反対に送られたモールス信号を文に変換する技術者が「電信士」

 電信の発明はかなり古い。実用化が1840年というからもう170年も昔である。それとともに電信士も登場した。モールス信号を手でうち、聞き分けなければならないから特殊技術者である。

 原理は極めて簡単!電磁石に通電した時。鉄がカチッと引っ付きます。それを利用するわけです。具体的には切り離れたOFFの状態と、通電の「短」・そして通電の「長」-の3つを組み合わせ文字を表します。擬音で表せば、短がトン、長がツーである。
 私は一つだけ言葉を知っている。SOSの「・・・---・・・」である。Sが・・・、Oがーーーである。

 いまどき骨董屋を捜し歩いてもこんな「電信機」はまずお目にかかれない。前々世紀の、電話もまだ発明される以前の古い古い技術。ペリーが日本に開国を迫ったときに幕府の土産として持ってきた「電信機」はその時、もう完成の域に達し、それ以上の大改良は終わっていた。

 正直、そんな時代の電信機、そして電信士が今のITの先駆者って???疑問だ。少なくとも1947年のトランジスタの発明以降じゃないのか。
 しかし、この本を読んで納得しました。

 若い人たちはPCやインターネットをガキの時分から自由に扱っていたため、IT技術の本質とは何かを、言葉で説明できなくても、体で知っています。
 ところが、やまさんは還暦でインターネットを始めたため、ITとはなんぞや?本質は?まるでわかりません。

 ですがこの本を読むと、年寄りが理解するにふさわしく、歴史からその本質に迫るアプローチをとっているのでかなりわかるようになりました。
 最年長の(IT訓練校で)私でも、
 
 「う~ん、これは古い」

 と言わしめた電信技術、電信士からの説きおこしは、胸にすとんと落ちることばかりで
 
 「ああ、なるほどなあ」

 電信士が向かった電信機は原始的ではあるけれど、PCの画面と同じ、PCは符号・暗号化を自動的にやってくれるが、電信士は自分の頭で変換するだけの違い。
 勤務時間に暇ができれば、顔も知らない電信士同士で「チャット」のようなことも行っています。

 それに電信網って目的地に直接つながってなくてもリレーしながら伝わるってことを知りました。
 まず、とりあえず目的地方向の一番目的地に近い局に送る。そしてその受け取った局は同じように目的地に近い局に送る。
 これって、実はインターネットと同じでまさにウエブなんですね。

 西部開拓時代の華、電信士には女性もいました。電信士同士のやり取りではもうインターネットと同じ。そんな電信士のやり取りから恋が芽生え、そして披露宴、参加人もバーチャルに電信網で行うという。
 こんな実際あった面白いエピソードを読むと「ITの起源」といわれるのもむべなるかな、という気がします。
 そして鉄道や軍隊・戦争と結びついて威力を発揮する電信技術は鉄道をあらゆる交通手段と読み替えれば今のIT技術と同じ、ここでも本質は同じ。

 そしてもっともITの本質に迫っていると思うのは、
 「技術」「情報」です。この二つのキーワードは西部開拓時代から同じように受け継がれています。
 
 電信士はおおむね貧しいが向上心・向学心あふれる若者でした。社会をのし上がるためには、まず「技術」でした。技術の取得を経て電信の世界へ足を踏み入れると、その人間は電信を通じて政治・経済・文化いわゆる「情報」に関する最新の動向にリアルタイムで触れることができる。
 この「情報」を活用できるというのが最大の役得でした。

 電信士の中にはこの「情報」の役得を最大限生かして、社会をのし上がった人々がいました。いまでも有名な人では
 カーネギー、エジソンがあげられます。

 彼らが電信にであったとき示した姿勢は、150年たった我が国で話題をさらったIT業界における成功者のそれと共通する面を持ちます。

 アメリカ史のごく狭い一分野の小史でしたが
 「なるほどITの起源はこんなところに」
 と何となくわかったような気にさせた本でした。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

「ITの起源」は「モールス信号」ということですかね。なるほど納得しました。
パソコンの起源は、ゼロを発見したインド人かもしれませんが、水晶発振子ともいえるような気がしています。人間の複製という人もいるので、人間かもしれませんね。つまり自分自身を再構築しているんでしょうかね。