2011年5月18日水曜日

信貴山縁起絵巻を読む 日本人の漫画の能力はこの時代から

 最近持病が現れず安心していたら、昨夜から今朝にかけて、症状がでた。幸い、未明に病院の緊急外来へ行くということにはならかったので、ちょっと安心した。しかし、睡眠が十分とれなかったので、今日は体がしんどい。

 ブログも本日は休みにしようと思っていた。しかし、安静にしているのも退屈なので今日は体調を考慮して肩の凝らない美術全集より『信貴山縁起絵巻』を読み始めた。
 その絵巻の中より、特に描写が面白いと思われる人物を写メールに3枚撮り、ブログを作りました。他にも描写の面白い人物はこの絵巻の中にたくさんありますが、今日はブログをつくろうという気力が衰えているのでごく一部しかとりあげられませんでした。

 この4人は平安時代の庶民と言ってもいいだろう。ある長者の従者や召使である。口を大きく開け、手は左方を指さしている。
 これからわかるように右手の方にいる主人や客に向かって、さかんにジェスチャーよろしく大声で勢い込んでなにかを申し立てている。
 かまびすしさが伝わってくる。しかし、何かユーモラスな場面である。
 それぞれの4人の個性的な顔をうまく描いている。貴族だといわゆる「引き目鉤鼻」の画一的で没個性的な顔になるのに比べ、庶民の豊かな表情の描き分けは際立っている。

 絵巻物の時代(900年前)、吹き出しなどはまだ発明されていないが、巻物のところどころに文章が入っている。吹き出しのようなものである。
 何か言う僧侶。それに対して米俵を持ち上げようとしている男が見上げている。うなずいているのか、何か言っているのか、そして横でしゃがみこみそのやり取りを見守る長者。
 吹き出しがあれば現代の漫画と変わらぬ場面。

 こちらは家内労働をする女召使。左の女は台所で椀を持ち何かしている。右の二人は?
 これすべて3人とも驚いているところなんです。驚くものは、どっち方向にあります?真ん中の女が凝視してますね。
 実は、左上方、空から、米俵と米蔵が降ってきているのです。
 「そりゃあ、驚くわな。」
 そう思ってみると、台所の女は、驚いて椀を取り落しそうになっています。一番右の女は、驚いて手を広げています。
 3人とも鉄漿(お歯黒)をしているのがわかりますね。

 現代漫画の技法について詳しいことはわかりませんが、この絵巻を見ると日本人は900年も前から漫画の技法に熟達していたのではないかと思ってしまいます。
 
 ヨーロッパの絵なんかと比べると写実というわけでもない。でも人物の特徴を的確にとらえています。写実以上に人々の、動き、音声、時として香りや味までもが、雰囲気とともに生き生きと伝わってきます。
 
 これも現代の漫画に通じるものなのでしょう。

 霊験あらたかな寺の「縁起」を説くものでありながら、真面目一辺倒ではなく、この絵巻の人物のユーモラスなこと!
 これも漫画に描く人物に共通してますね。 

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