2010年12月28日火曜日

師走の空

 はやい、はやい、はやすぎる。こんなにも時の流れってはやかったものか。振り返ると一年ってはやいというけれど、師走になり、まるで急な坂を転がるように加速度がついて以前より更にはやまったきがする。今日はもう28日、なんの準備も覚悟もないまま年の暮れと新年が、ドドドドッツとやってくる。
 どうぞ、ご勝手にと、時の流れに掉ささないまでも、流れから身を離し超然と過ごせたらいいのだろうが、そうはいかない。時の流れに逆らい得た人や超越した人は残念ながらいない。新しい年が来れば、人は年を取る。着実に歳を重ね、その体に老いを刻み死へと確実に一歩一歩進んでいく。
 それがどうだ!年々歳々、歳と共に一年がはやまるのは!60歳が来て一年がこんなにはやく過ぎるというのは、まるで断崖絶壁に一直線に向かっていくブレーキのない車に乗ってアクセルを踏んでいるようなものだ。
 特にこの月師走のはやいこと、一か月なんてあっという間、12か月の名称の中でこの12月に「走」という文字がはいっているのは、なるほどと納得させる。
 
 そうはいっても、このはやまった時を寸暇を惜しんで有効に使おう、などという気は起きてこない。のろのろ、ぼんやり、の日々。高校生の時、倫理の時間にある四字熟語を知り、忌まわしい言葉じゃと思い、自分はこうはなりたくないと決意したのも夢のよう。今はその言葉通り
「酔生夢死」
 同じ倫理の時間に「老荘思想」を聞きかじったが、酔生夢死と相性が良いような気がしたが、さあ、どうだろう。怠け者を正当化してくれる哲学なんてないわな。
 
 で、今日ものろのろ、ふらふら午前10時過ぎに家を出た。快晴で風もなく日差しが心地よい。
「年末、年始、読む本を借りてこようか。休館日がかなりあるから、10冊くらい借りようか。」
 徳島の図書館へ行こうと思い駅へ向かう。
 空から、わんわんと声が降ってくる。見上げると雲一つない青空に小型飛行機が旋回している。それがかなりの音量で宣伝文句をがなりたてている。人形店の宣伝か、と思いよく聞くと今日は、石井の野菜市の宣伝。ブーンというかすかな音とともに、ラウドスピーカーの大音量がときにより小さくなったりもとに戻ったりを繰り返し降ってくる。
 このような宣伝方法、私の住んでる田舎だからありえるのだろうな、と思いながら歩く。初冬の穏やかな午前、静かで車や人工的な音も少なく、耳を澄まさなくても小鳥の声が聞こえるくらいである。都会だとこうはいくまい。騒音が多すぎて無理だろう。
 こどもの頃はこの上にまだ、ビラ、チラシを撒いていたのを思い出した。空からひらひら舞い落ちるビラを喜んで拾いに走ったことがある。その中に当たりビラがあって引き換えにブドウまんじゅうをもらったこともある。今、これをやったら苦情殺到だろう、いや、その前に法律で禁止されているのだろう。交通量の多い国道で車のフロントガラスに舞い落ちて張り付いたら大事故になるだろう。ごみを作るのか、と怒る人もいるだろう。昔は車も少なく、のんびりとおおらかだからできたのだろう。
 徳島の図書館へ行ったら今日から休館日、ええーっ、官公庁も今日まではあいてるぞ。

3 件のコメント:

WHOchan さんのコメント...

yamasanこんばんは。

ひさびさブログ更新しておきました。

師走。同意見です。

しかしいつもながら風情のある素晴らしい文章ですね。見習います。

トシ さんのコメント...

俺は年末も夜はバイトです。スーパーも今はクリスマスにお正月にとあわただしくなってはいます。

ワンピースファン ルフィと仲間たち さんのコメント...

図書館では、良い本はありましたか?