2020年10月31日土曜日

ハロウィンと最近見たアニメ

今日はハロウィンである。下はアミコ二階に置かれたハロウィンのお飾り

 季節の変わり目と思われる日に『節日』(祭日)を置くのは日本も欧州も同じである。不思議と似ていて、しかしある意味真逆なのは、日本の「立春」と欧州(カトリック諸国)の「万聖節」である。日本の「立春」の方はこの日を境目に寒くて閉塞的な冬から暖かく明るい春になる節目であるのに対し、欧州の「万聖節」はこれを節目に暗くて長い冬に入る。

 似ているのは急転回する季節の変わり目の日というだけではなく、どちらもその前日(一日前)が有名な祭日になっている。立春の前日は「節分」であり、豆まきをし、鬼をはらい福を呼びこむ行事である。一方、欧州の万聖節は(万聖節はカトリックで認められたあらゆる聖者を偲び感謝する日である)日本人はあまり知らないが11月1日である。そして前日は10月31日、ここまでいうともう気づいたと思う、そうこの日は「ハロウィン」である。仮装をし家々を訪問し、菓子などをやり取りしたり、パーティーをしたりする。日本の節分の行事とはずいぶん違うが、ハロウィンの仮装は「悪霊を脅かすためにある」とか「いや、あれは悪霊そのものである」とかいう説明を聞くと、日本の節分も豆まきに追い払われる鬼に扮し(鬼の)仮装をするという部分で似ていないこともない。

 ここでちょっと注意してほしいのは、ハロウィンは万聖節の前日といったが、実は日没が終わってからのハロウィンの夜はキリスト教の暦では万聖節と同日になるのである(これは一日は日没した瞬間から始まり次の日没に一日が終わるので)、これはクリスマスイブとクリスマスが24日と25日にまたがっているが、同じ一日の出来事として見るのと同じ理屈である。

 日本の季節の変わり目は、節分そして次の日の立春と二日連続で祭日がつづくが欧州のハロウィン・万聖節(キリスト暦では先も言ったようにハロウィンと万聖節は同日)も続いて祭日がつづく(つまり11月1日~2日)続くのは「万霊節」ともいわれる。万聖節そして万霊節とよく似た言葉でややこしい。ところがこの万霊節、別名があり、こちらで呼ばれる方が一般的である。その別名は『死者の日』と呼ばれ、特にラテンアメリカでは有名で盛大な祭である。

 ここまで調べてその『死者の日』を知ったとき、つい10日ほど前にみたDVDのアニメ『リメンバー・ミー』をすぐ思い出した。子ども向けのアニメではあったがジジイが見ても面白かった。舞台はメキシコ、ご先祖の霊を迎える日として「死者の日」があり、その日は死者の国の門が開かれ、死者はマリーゴールドの花ビラが敷き詰められた橋を渡って生者の国を訪問するのである。そこで生者が手厚く死者の霊をもてなすのであるが、子孫が絶えたり、身内が死者を忘れたりすると死者の国にいる霊は、生者の国には招かれず、やがて死者の国でも二度死んで永久に消滅するのである。その死者の日ひょんなことから死者の国に紛れ込んだ少年の物語である。

 見終わった後、まさか死者の日が今日のハロウィンに続く日であるとはその時は夢にも思わず、ただカトリック教国のメキシコとはいいながら日本の「お盆」の風習によく似ているなぁ、と強く思った。アニメの中では何月の何日とは明言されていなかったので、日本のお盆と同じで暑い時期かなぁ、マリーゴールドの花も咲いているし、そのあたりじゃないかなと漠然と思っていた。

 そしてDVDのアニメを見終わって10日ほどたち印象も薄れつつあったころ、ハロウィンについてのブログを作るのでネタを集めていて目にしたのが、ハロウィン・万聖節そしてそれにつづく万霊節・死者の日(11月1日~2日)の存在であった。その時前に見たアニメの「死者の日」がよみがえり、同じ意味の言葉であると気づいたのである。

 アニメの季節感(暖かそう、マリゴールドが満開)が違うのは考えれば当たり前、11月1日~2日は欧州や日本は晩秋から初冬に向かう頃であるのに対しメキシコは緯度を見ても九州より南にある暖かい国である。落葉もないだろうし、夜の訪れも早くはならない。(メキシコシティーは高地にあり、常夏というより常春に近い)

 この頃、欧州では緯度が高いので秋も早く過ぎ去り、落葉も終わりに近づき、日没は急激に早くなり、かつ日中からすでに太陽は夕焼けのように色づいてくる。欧州のこの頃の風景はまさにハロウィンらしく下のようになる。

 ところが九州より低緯度にあるメキシコはこの『リメンバー・ミー』のポスターのように明るくマリーゴールドの花が咲き誇っているのである。


 どちらも主な色調は「橙色」ではあるが、一方は重く暗い橙色であるのに対し、もう一方は輝くような橙色となっている。

 ハロウィンの絵柄に特徴的であるのは上図を見てもわかるように地平低く大きく浮かぶ輝きが失せ直視できる太陽である。地上が暗いので月と間違われるが夕日である。こういう雰囲気の絵には満月がふさわしい気がするが、太陽歴の特定日10月31日が満月になる確率は二十数分の一で20~30年に一回くらいしかない。(太陰暦はこの点、特定日には必ず同じ月齢の形となる、例えばお盆の最終日旧暦15日は当然満月となる)

 今年はその稀な年に当たっていて、今年のハロウィンは満月と重なっている。そのため今年はこんな絵柄のハロウィンポスターが使える。月光は昔からものを狂わせ、魔界に引き込む力があるともいわれている。この図を見るとなるほどそのような雰囲気が充満している。


 これから冬至まで太陽はどんどん勢いが衰え、光が弱くなる、それにひきかえ月は増々さえわたり、月光は強くなる。12月ごろの満月は最も高度が高くなり、光も一年中で最も強くなる。陰陽の強さが逆転するのである。

 ハロウィンの行事は昔の日本ではなかった。しかし徳島でもここ20年くらいの間に定着しつつある。日本のハロウィンの特徴は聖者の日とか死者の日とかいう宗教色は一切なく、一般にはハロウィンの飾り付けをして雰囲気をかもしだすのが主である、若者はハロウィンパーティーを開いて楽しんだり、怖そうなお面や衣装を着けて仮装行列をしたりしている。だが今年はコロナウィルスの影響で大っぴらな仮装行列はひかえるているようだ。

 大昔にも年中行事ではないが何かの祝い事、特別な催しものの一環として仮装行列はあった。下は大正9年(ちょうど100年前だ!)月も同じ10月に催された仮装行列である。徳島市新町筋を練り歩いた。この年第一回国勢調査が行われるにあたりそのPRのために仮装行列を行ったとある。写真の中、中央のロイドメガネの人や一番左端の人の仮装などは、現代のハロウィン仮装行列に混じって出てもなんら違和感はないだろう。


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