2011年4月5日火曜日

さくらはすき?

 世は挙げて桜をもてはやし、あちらこちらで花見の宴。街路も公園も土手もダムも桜の花盛り。
 これだけさくらさくら、と言われ、これでもかとばかり目につく限りさくらを見せられると、天邪鬼でなくても桜に反感を持つ人間が出てきてもよさそうなものだけど、

 「花は桜木、人は武士」

 「桜は日本の象徴、日本人の心情にあった花だ。」

 なんどとやたらと日本だの、心情だのと、精神性をいうものだから、

 「僕は桜なんか大っ嫌いだぁ~!」

 と公言するにははばかられる。だからか、桜は嫌いだ、という人にはあまりお目にかかったことがない。
 しかし以前読んだ本の中には徹底して桜が嫌いな人の話があった。桜の咲く時期は家に引きこもって外に出ないそうである。百人に一人くらいの割合でこのように徹底して桜嫌いがいる方が健全な気もする。だが、わたしの周りにはいそうにない。

 さくぅら~、さくぅら~、と草木も靡く風潮の中にあって、その時期は引き籠るほど嫌悪感あらわに自己主張ができる人って素晴らしいと思うんだけどそんな人いませんかねえ。
 盛りのド派手なさくらを嫌いで見たくない人は一週間も引き籠ればさっさと散ってやり過ごせますから、嫌いだけど自己主張できないあなた、安心して、引き籠るほどのさくら嫌いになりましょう。
 これが椿や百日紅が嫌いと来たひにゃあ、数か月引き籠らにゃならないから、さくら嫌いがう~んとお手頃ですよ。
 さあさあ、隠れさくら嫌いのあなた、カミングアウトしましょうよ。

 てなわけで、やまさん

 「桜なんか 大っ嫌いだ!」 

 とは言っても、私が嫌いなのは、みんなにもてはやされている人気者の「ソメイヨシノ」の種類だ。

 本当の古来からの「桜」 今では「山桜」と呼ばれている花は嫌いなわけがありません。和歌に詠まれ、平安の貴人が観桜の宴を開き愛でたのはこの花。今は片隅で一本か二本、あるいは在来種のため山にぽつぽつ、愛でる人もソメイノよし子ちゃんに比べたらほとんどいない。
 でもそれでいいんだ。この木の下でカラオケをがなり立てたり、酒飲んで狂喜乱舞したり、焼き肉やバーベQの煙でいぶすのは許せない。それはソメイヨシノにまかせるのがいい。

 気品ある山桜はひっそりとやまさんが鑑賞します。

敷島の 大和こころと 人問わば 朝日ににほふ やまさくら花 (本居宣長作) 

山桜
ソメイヨシノのように花数は多くなく、ご覧のように薄い茶色の小さな葉と一緒に咲くのが特徴。ソメイヨシノは花だけ先に咲く。

私の大好きな中世の絵巻物、「一遍上人絵伝」、13世紀末
 満開の桜が風にさそわれ花吹雪を散らす。
 よく見てくださいよ、満開の桜に上の写真と同じように葉っぱが出てますね。
 これが本来の桜、今では山桜といわれる。

 私の持っている大判の絵巻物の本から写メールで直接撮りました。

 中世の一風景をまるで風景写真に撮ったような絵巻のシーン、わたしゃ、見るたびエクスタシーを感じるくらい超好みだぁ~。








上の2枚の写真はMOTOさんに捧げます。

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