2022年11月8日火曜日

今日の天体ショー(まだ始まっていないよ)

  今夜、午後7時過ぎから皆既月食が始まる。天気は晴れで空気の澄む秋の夜空が期待できる、天体観測にはいい条件だ。

 午後5時17分、まだ月食の始まらない月が東から上った。(汽車の窓から撮る)


 皆既月食になると普段とは違い赤銅色の暗いまん丸月が見られる。それも見ものだが、もっと注目してほしいものがある。それは「天王星」である。

 人類は太古から星々がちりばめられている夜空を観察してきた。ほとんどの星は同じ位置(相対的位置は変わらない)にあるが、夜空の天球上をフラフラと動きまわり、おまけに行きつ戻りつするような動きをする明るい星が幾つかある。そのため「遊星」とも名付けられた。「惑星」のことである。古代バビロニアでも古代中国でも知られていたのは月は除くとして、ご存じ水、金、火、木、土星の5星である。このうち金、火、木、土星は今までに私はなんども肉眼で見たことがある。今夜も、木星、火星は出ていて見られる。水星は暗い星ではないので見ようと思えば見られないことはないが、太陽に最も近く、太陽付近をうろちょろしているので、日没か夜明け前、かなり低い位置にしか見られない。しかしその条件の時に観察すれば誰でも見ることは可能である。

 さて今夜、問題の「天王星」ですが、発見されたのは18世紀も末です。大昔から遊星は水金火木土の星と絶対的に信じられていたので、まさか他にも隠れた遊星があるなどとは思いもしませんでした。そのため、18世紀末以前にその星自体は知られていたのですが、肉眼で見られるギリギリの暗い星であったのと(水金火木土の遊星は明るい)、太陽系の遠い外惑星であるため、動きが極めて鈍く、遊星とはまさか思わなかったのです。18世紀末の天文学者ハーシェルが巨大望遠鏡で観察し、惑星軌道を計算し、その計算通り、その星は天球上を動いたので証明され、人々も信じたのでした。

 その天王星は我々が見たいと思ってもかなり難しい星です。ギリギリ見えるとは言いながら暗い星で、また昨今は外も照明で明るくなっていることが多く、余計に見えにくくなっています。だからまず、我々、専門家でもなく、また天文マニアでもなく、望遠鏡も持っていない者は、一生かかっても天王星を見ることはまずないでしょう。それに天球の上のどこに天王星があるのか、それを探すのが一番大変なのです。

 ところが今夜だけは違います、月食とともにこの天王星食もおこるので月に隠れる寸前、と、出たとき天王星を視認することが可能となります。何しろ「赤黒い」が目印なのですから、こんなわかりやすく位置を示してくれる機会はまずありません。

 だから皆さん、天王星を見ることに今夜はチャレンジしてみてください。ただし、暗いから肉眼では難しいかも知れません。でもお家に双眼鏡やオペラグラスがあれば、それでも天王星は視認できると思います。ぜひ天王星を見て見ましょう。

 天王星は下のように月に隠れるように動き、また月から出てきます。その時が見るチャンスなのです。(場所による違いはあります。西日本になるほど早くなります、しかし数分差です)



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