2021年5月24日月曜日

ビワと幻覚

 本日も図書館のパソコンから投稿


 汽車から見ると黄色に膨らんだビワが見える。今年は梅雨の始まりがずいぶん早かったせいか梅雨に熟れるビワも早い気がするが、どうだろうか?

 果物の中でもビワは好物だ。子供の時は庭にビワの木があり、小ぶりの実ではあったが甘くておいしかった。しかし今はお店で買って食べる以外ない。店頭のビワはきれいに並べてパック詰めしてあるが結構な値段である。一度買って食べた。商品にするくらいなので大ぶりの実で形はまさに楽器の「琵琶」の形をしている。しかしどうも私にはおいしいとは思わなかった。子供の時家で採ってたべた小さくてまん丸のビワのほうがよかった。だからそれ以来、わざわざ買っては食べない。ごくたまに友人宅にあるビワをいただいて食べている。

 昨日、最晩年の芥川龍之介の短編を読んだせいか、このビワと彼の宿痾だった神経症と幻覚について十年も前に書いたブログを思い出した。なぜビワが幻覚を連想させたのか、それは一巻の病草子(鎌倉時代初期の絵巻物)にある絵であった。下は十年前の私のブログより。(図に私の説明文を入れてある)

 病に臥せっている病人には枕元にワラワラと集まる小人の幻覚が見えている。看病する妻が夫に進めているのがわかりにくいがビワの実である。妻のひざ元には幾房かのビワが置いてあるのが見える。


 病人にはこのような小人の幻覚が見えている。芥川龍之介は幾つもの歯車などが幻覚として見えたそうだ。


 私も子供の時高熱が出て意識が混濁していた時、いろいろな幻覚を見た覚えがある。しかしそれ以外では見たことない。芥川の場合、高熱の意識混濁でもないのに普通に眼前に現れる幻覚をありありと短編に書いている。

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