2020年1月21日火曜日

道を歩きつつ梵字を読む演習をしてみようや~っと

 以前から路傍に古い石仏、光明真言塔、おっぞうさん、などがあると歩を止め、手を合わせそれから書いてある文字や年号を読んだものである。古いものを知りたい、大昔の人の信仰生活を知りたい、というまぁ歴史的な興味からであった。その石面を見るとき、漢字文字列ならば読めるし、仏教独特の漢文体ではあるがだいたい意味も分かる。それは特定の人の供養塔であったり、あるいは万人一般の供養・天地平穏を祈るものであったりする。歴史的に起こったある大災厄の記念碑的な供養塔であったりする場合もある。塔といったがそれはお地蔵さん像であったりする場合も多くある。

 漢字以外にひらがなもあるがそれも当然読める。しかし中にはくずし文字でお家流に書いてある文字もあり読むのに苦労はする。それでも写真に撮ったりして後でそれを読み解いたりもできる。困るのは石面に刻んである図象のようなもの、あるいは梵字である。漢字の一般的な知識はもっているし、日本史に登場する仏像の図象についての概略的な知識もちょろっとは持っているが、仏教的な図象や梵字は勉強したことなくまったくお手上げで、家に帰ってきてから撮った写真をみてそれらしい図象や梵字を辞典から探したものである。

 そこで前のブログでも書いたが最近、梵字(悉曇文字)を勉強している。勉強といっても本格的なものでなく、その形を見て「読める」(文の一部として意味を理解して読めるのではなく日本風にタダ音読できるだけ)ことと、文字を「書ける」ことを目的としている。まあローマ字を例にとっていうと、A,B,C・・を「エー、ビー、シー・・」とよめてペンで「A,B,C・・」と書けるだけでよいのである。梵字の形を覚え読むのはそうむつかしくはない。というのも本式のインドの発音はしなくてよいからである。もう1000年以上も昔から真言宗には梵字の日本風の読み方があり、いわばそれが梵字の正式な読みであるので、その発音ならば全く難しくない。そりゃそうだ、完全な日本式の発音だからである。英語でbookとあるのをカタカナ式に「ブック」というようなものである。

 これに対し書く方はちょっと厄介だ。基本は毛筆ではあるが、刷毛、木のヘラのようなもので書く書式もある。密教的な文字であるため作法はちょっとうるさい。初めの打ったて点は「命点」といいあだやおろそかにしてはいけない。書き損じはしたらダメ。書き散らしても駄目、梵字を書いた紙を捨てるのはあかん、焼却処分なんどはもってのほか。梵字は一字で仏の尊格そのものを表す。ええ加減なことしよったら、地獄に落ちるぞ!と脅される。そして書く時は敬虔な気持ちで姿勢も正さなあけへん、そしてなんと、法衣(僧侶の袈裟)を着て書かなあかん、とある。これじゃ書く練習もできひんわ、とまあ、これが一応規則だが、全部守るとなると練習もできないから、法衣を着て書かなあかんというのだけは勘弁してもらい、書くつもりである。

 書くつもりである、といったが今のところは読みの練習だけで、ちょっと厄介な書く練習までは進んでいない。今は読みの勉強に専念している。しかし歳ぃ~いくと物覚えはウンと悪くなり、覚えてもしばらくたてば忘れる。忘れにくくするためにはもう何回も何回も文字を確認し音読を繰り返す以外にない。基本文字は50余りだがこれに母音がついて文字を形成したりまた他の子音もくっ付いて(一つとは限らず4、5個がくっつく時もある)それらが合成して梵字一文字になるから数百以上の文字になる。でも基本梵字と合成のパターンを覚えれば梵字を認識し(密教風に)音読して読むことはそうむつかしくはない。

 なんという文字か認識し、読めるだけでは梵字を学習する意味はない。「梵字を読める」ということはその文字が宗教上どのような意味を持つのか、そして密教にたくさんいらっしゃる仏の尊格のどちらさまを表しているのかも同時に知らなくてはならない。胎蔵・金剛界曼荼羅は千を超える仏尊がいらっしゃるからこれは大変である。主要な御尊格からボチボチ覚えていってるところである。

 路傍にある石仏、石塔、おっぞうさん、などには梵字(種子・しゅじ)が刻まれているので礼拝しながら、梵字を読む演習にはちょうどよい。だいたい種子は1コかあるいは3つくらいまでなのでわかりやすい。昨日、自転車で西高川原をふらふら通っているとこんなものがあった。台形に組んだ石柱があり上には鯱瓦のような石像が二体向かい合って載っている。石柱にはひらがなで「さぬき二十二」とか刻んである。なんやろ?これはちょっとわからない。

 しかしこの後ろには石仏が三体並んでいる。左は不動明王尊が彫ってあり右は六地蔵が彫ってある。そして真ん中は種子がたくさん彫ってある石塔であり。ちょうど種子(梵字)をお勉強しているのでさっそく読むことにチャレンジしてみた。

 拡大図である。(仏花・樒がちょっと邪魔なので一時的に抜かしてもらった)

 え~っと、まず種子の数であるが、上に一つ載っている、これは別格ということかな、そして縦に四つの種子が三列ある。4×3で12個、そして別格の一を加えると全部で十三、お、これ十三仏さんの種子ちゃうか、まずいちばん上の一つだけ別格の種子を確認すると、虚空蔵菩薩さんじゃ、とすると虚空蔵はんを除いてあとの十二仏を順番に確認していくと、やっぱ、間違いない十三仏さんの種子やわ、
 写真一番右下から「不動明王」カーン。「釈迦如来」バク。「文殊菩薩」マン。
 二段目に上がって右から「普賢菩薩」アン。「地蔵菩薩」カ。「弥勒菩薩」ユ。
 下から三段目は右から「薬師如来」バイ。「観音菩薩」サ。「勢至菩薩」サク。
 下から四段目右から「阿弥陀如来」キリーク。「阿閦如来」ウン。「大日如来」バン。
 そして最上段は「虚空蔵菩薩」タラーク。
 である。
 虚空蔵はんは別格といったが三列四段にしたから最後の虚空蔵はんが13番目で余ったから上段に置いたわけで別格というわけではない。だからお不動さんから虚空蔵はんまでちゃんと13仏さんの順番になっている。

 皆さんもよく知っての通り十三仏さんは13回ある各年季法要(初七日から三十三回忌まで数えて13回)のそれぞれに充てられる守護仏である。そして普通だいたいは三十三回忌の13回めで弔いあげとなる。その最後の十三番目が「虚空蔵菩薩」である。ということはこの十三仏の刻まれた種子の石塔はなくなった人の弔いあげとなる三十三回忌後、供養として建立されたものかもしれない。左右にお不動さんと六地蔵の石仏があるがこれもなくなった人のための供養として建てられたのだろう。

 推測が当たっているかどうかはともかく、種子(梵字)を確認し、読むええ演習になったわ。

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