2013年3月25日月曜日

さくらよおまいは鯨か

 
 今、桜の開花期を迎え、花が注目されるが 桜は実も葉も樹皮もその木材も有用なものとして使われる。

 まず実であるが、これはサクランボと呼ばれる。山形産の何とかいうサクランボの品種はその色艶、味、驚くほど高い値段のため宝石のルビーに例えられたりする。高価でワイなどは口にすることもできない。

 実はワイが子供のとき家にサクランボの実のなる品種が植わっていたが、ほったらかしにしていたから実の熟れるころにはほとんど鳥に食べられた。それでも小さいながらも残った実を食べておいしかったのを思い出す。

 サクランボは高くてなかなか手が出ないが、桜の葉っぱの塩漬けで作った桜餅は値段も安くおいしいのでこの季節、思い出したように食べる。今日も2個入りを買ってきた。

 若い人は和菓子の桜餅などあまり好みでないかもしれない。しかし、ワイは大好きだ。桜餅独得の香りが何ともいえずよい。ネットで調べると、これは桜の葉に含まれている『クマリン』というものが香りの主体だそうだ。シナモンやコーヒーの香り成分と親戚の物質らしい。

 上の桜餅は関西風だそうだ。昔からわが徳島もこの桜餅だ。中の餡は漉し餡の道明寺、外側の餅はもち米を『半殺し』(全部搗いて餅にしてしまわないで半分もち米の形を残して搗く)にしたもので粘りの中に粒々の食感がある。

 次は樹皮である。これを煎じたエキス、あるいはアルコルで抽出したチンキは『咳止め』に良く効く。民間療法の怪しい生薬ではなく本当に良く効くらしい。一度、試してみようと思うが桜の樹皮を集めるのは結構骨が折れる。

 他にも樹皮は着物を織るのにつかわれる絹糸の「さくら染」に使われる。着物が本当に桜の花びらのような上品なピンク色に染まるから不思議だ。花びらを集めて染料にとはならず、その樹皮が桜色を出すというのも面白い。

 最期は木材である。これは高級家具、化粧板に使われる。国会議事堂の演壇、手すり、椅子、化粧柱など格調高い木部は奈良吉野の桜の木でできている。

 こう見てくると桜は花は愛でられ、実は超高級果物、樹皮はさくら染、咳止め、木材は高級建材、葉も餅やほかの食材として用いられる。桜の木全体は捨てるところなく利用できる。

 日本で捕鯨が盛んなりし頃、鯨は捨てるところなく全部役立つのだよ、と教えられたが

 「さくらよ、おまいは鯨か」

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

日本の桜は実をつけないので、花しか楽しめない贅沢と言うか役たたずみたいに思っていましたが、そんなことはなかったんですね。でも、どう考えても実をつけて食べれる方がいいけどな~なんで実を付けへんのでしょうね?オランダの修道院の庭には数十本のチェリーが植えてあり、春にはチェリーの食べ放題でしたよ!美味しかったな、全員でワイワイいいながら取るのも楽しかったな~(^_^)v

yamasan さんのコメント...

品種改良で花だけ鑑賞のソメイヨシノは日本だけのものですね。桜の親戚の梅、桃、梨、カリン、なども花もきれいですが実を食べるためのものです。

 実がないということは子孫を残せないことです。そのかわり見事に咲いて散る、やはり潔いですね。

 敷島の大和心と人問わば 朝日ににほふ山桜花