2023年4月2日日曜日

直江兼続および判官(源義経)贔屓

  WBCの観戦以後、にわか野球フアンになった。この間のサッカーのワールドシリーズでは私も観戦は盛り上がったが、その後、プロのJリーグのにわかファンとはならなかった。と言うことは私自身も実は同年代の野球好きと同じ性癖・傾向があったのかも知れない(今まで気づかなんだ)。

 三月末、ほぼ同時にアメリカのMLBと日本プロリーグのNPBが開幕したが、私の場合初心者観戦の手ほどきがWBCであったためか、一回目から力を入れて見ているのはMLBである。NPB(日本プロリーグ)も年季の入ったファンからすれば奥深く面白かろうが、MLBの強烈な試合を見た後では、独断と偏見は重々承知だが、日本のプロリーグはなんか「だすこい」気がする、あ!「だすこい」って標準語じゃないかも。でもなんとなく意味が理解できるでしょう。

 そうゆうわけでMLBの特にエンジェルスの試合を一回目から見ている。大谷の先発で好投したが、結局2-1で逆転負け、ガッカリしたが旧来のエンジェルスファンからすれば、このようなガッカリはどうも日常茶飯事(すごい言葉だ!)らしい。翌日のスポーツ紙で面白い言葉を知った。大谷の活躍に比してそれでも負け続けるエンジェルスを「大谷は活躍しました、なおエンジェルスは負けました」のフレーズの一部分「なおエ」が言葉として定着しているらしい。中には「直江兼続」と表現するファンもいるらしい。

 そして今朝、朝早くからTVつけてエンジェルス対アスレチックスの二回目の試合を観戦した。今回の見所は大谷が打者に専念し、そしてWBCに初めて入った藤浪晋太郎投手との対決である。一回、二回と素人の私がみても藤波の好投が目立った。お!こりは、また「なおエ」か、はたまた伯仲戦かと思ったが、三回になると藤波はフォアボールを出してから次々と打たれ8点近く入れられ、結局二回と三分の一で交代となった。結局13-1でアスレチックスはボロ負けとなった。

 MLBのにわかファンとはなったが、エンジェルスに対しては思い入れはあるもののエンジェルスファンというにはおこがましい私ではある。そのような視点から見ても今朝の試合、エンジェルスが勝ったが決して(私としては)気色のよいものではなかった。まず藤波は日本からMLBに入っての初めての登板で初デビューである、1、2回と好投しながら3回に入ると大量得点を与えてしまい散々のデビューとなった。彼は今朝まで顔も見たことがなかったがTVに写り、しっかり見たが好感の持てる好青年と見えた。全くの新地で初っぱなをくじかれるのは気の毒だ


 そして何より私の心を揺さぶったのは、テレビが観客席にパンし、両手を顔の前でしっかり合わせ拝むように祈る東洋人の中年女性が写った。解説者はそれに対し「藤波のお母さんも応援してますね」との解説が入った。こういうのにはまったくもろい私である。おかぁさんのためにも、なんとか初デビューで華を上げて欲しいと思うと同時に、テレビでなにもお母さんの祈る姿まで写さんでもええやろが、と不快になった。

 左はアスレチックスのユニホムを着た藤波である。野性的でなかなかいい面構えだと思うと同時に、この顔!大谷翔平が6割くらい入っとりゃせんかと思う。

 これまで藤波のこと全然知らんかった。昨夜銭湯で藤波は阪神からMLBに入ったことは阪神好きの人から聞いていた。そこで先ほどネットでチョロッと調べた。身長197cmというからあの大谷よりまだデカい。そして驚いたことは大谷となんと高校野球の甲子園で対決していたのだ。ちゃんと動画も残っていて見た。高校球児の投手しての甲子園対決大谷にホームランを打たれている。つまり今朝の対決は高校以来の(ちょっと思い入れ深く大げさに言うと「因縁の対決」と言えないこともない。というか私はそう思いたい!

十年前の高校野球藤波対大谷対決(動画)

 

 大谷との今回のMLBでの対決は(投手藤波対打者大谷)ホムランこそ打たれなかったがホームラン級の打撃を浴び、得点に結びついたので今回も大谷に軍配は上がるであろう。そしてデビューを飾る登板は御覧のような結果で3回途中でマウンドを降りた。今後の起用も含め心配である。と、かなり私は藤波に思い入れてしまった。

 私はこのように、藤波・大谷の高校の時の対決、そして十年後アメリカでの初舞台の場面、再び因縁の対決、お母さんは一心不乱に手を合わせ祈りながら見ている、そして最初は目を見張る初回イニングだったが、挫折。因縁の対決者大谷との落差。このようなシュテュゥエイションになると私は白昼夢をみて勝手になにか悲劇的なストーリーを頭の中で作り上げてしまう。そう、大昔から言われてきたあの義経に対する国民的な人気と同情のような心境になる。『判官びいき』である。勝手に頭の中で悲劇的なストーリーを作り上げ、現実からは乖離してしまう。そして妄想をたくましくし、結局は滅びる、あるいは消え去るとわかっていても応援したくなる敗者そしてイイ男、それが九郎判官義経である。まさに藤波にその義経を白昼夢で見てしまう。

 こういう私のような妄想系のファンは実のところ藤波にとっては迷惑だろう。

 「おいおい、ワシは、これから先細りで決して成功しないのか、決めつけるな、そんな同情いらんわ」

と言われそうである。野球のことはほとんど知らない私だから、田舎のドサ回り劇団の演じる義経の悲劇のように見ているのかもしれない。もちろんこれから大活躍することを本心から願っている。それは「判官びいき」であっても当たり前である。

がんばれ藤波、フレェェェ、フレェェェ、ふ・じ・な・み!

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