2022年9月27日火曜日

バナナの木

  三日前の切幡観音参拝のときにみたバナナの木についてのブログです。

 まずその前にワイの人生とバナナとの出会いからお話しします。まだ小学校に上がる前の子ンまいとき(年齢は忘っせた)。祖父がウチの家のすぐ近くにあった青果市場から、買ったか何かの関連でもらったがわからないがバナナの一房をもって帰ってきた。そして一房丸ごとでなく中身の半分くらいを

 「ほりゃ、これが台湾からきたバナナじゃ、食べてみぃ」

 と手渡されたべた。今まで味わったことのない強烈な(いまだとトロピカルなと表現するかもしれないが)香味と果肉のトロッとした歯触りとあとに残るまろやかな甘みに強烈に魅了されてしまった。それがバナナを味わったはじめである。私の年齢から考えると昭和30~31年ころのことであろうから、日本に輸入されるバナナは今ほどは多くなく、またその輸入先は台湾がほとんどであった。

 それまでに食べた日本の果物、ミカン、リンゴ、柿、梨、などとは全く違う熱帯のフルーツ、バナナがその一回で大好きになってしまった。とはいっても当時の田舎、また裕福でない祖父母のうちでバナナなどそう手ンごろ易く買えるものではない。時々食べられるようになったのは高校に入ってからくらいだろうか、そのころになると中米産の比較的安いバナナが入ってきたようで値段もウチの家庭でも時々は購入できるようになっていたようだ。

 そして時は流れて現代、大きめのバナナが三房ビニルの袋に入っているのがスーパーで100円で買える。まさに手ンごろ易く手に入るようにはなったが、子供の時切望したようにはバナナの味には魅了されないようになった。何故かなぁ、あの強烈な独特のムチャットした歯ざわり、熱帯のエッセンスの詰まったような香味感は今のバナナには感じられない。あの時食べたのは台湾産バナナだった。確かに多くの人に聞くと昔の台湾産のバナナが今のバナナ(ヒリピン産でキャベンディッシュというおおぶりの品種)より数等おいしかったと聞くが、今、台湾産がほとんど手にないらないこともあって比較ができない。しかし生まれて初めて味わたバナナの味は台湾産だからという以上のものがあったと思う。

 最近は、バナナは整腸にいいというし、また血圧を下げる働きがあるとのことで先の100円のスーパーのバナナをよく買って食べている。しかしよく食べるからか、大味でおおぶりのキャベンディッシュという品種のせいかそうおいしくない。でもバナナの皮をむいて、三つくらいに切り、ビニルラップで包んで冷凍庫でカチカチに凍らせれば俄然おいしくなるのを発見して、最近は生食が半分、凍らせて冷凍バナナにして半分は食べている。

 そして数週間前、あるきっかけからジャマイカの民族音楽に基づく60年びゃぁも前のアメリカのポップミュージユック「バナナボート」が気に入って、原語の歌詞をそのまま覚えて歌う練習を始めたため、また「バナナ」を、今度は客観的に見ようという興味がわいてきた。

 まずバナナの木を知らにゃぁあかん、そういえば、先にいった子供時代、バナナの味に魅せられて、何とかバナナのなる木、がこの辺に生えとりゃせんか、とまるでその辺になっている柿だのユスラウメ、や石榴、サクランボウ、なんどと同じように、その成る木を見つけて、もいで食べりゃぁいいがなぁ、と思っていた。今から考えると熱帯のフルーツがこの辺で実るはずはないのだが。しかし、その子供のころ誰かから、そういや、あそこ(どこかの保育園の園内か寺の境内のどちらかと思う)にバナナの木があるでよ、と教えられた。早速、見に行った、というより下心は実がありゃぁ、もいで食べてやろうとしていたと思う。

 それが芭蕉の木であった。如何にも熱帯に生えるように葉っぱが異常に大きく広く、まるでジャングルの中に生えていそうな木の印象だった。その木の周りをまわり、あるい分かれた株から出ている幾本かの茎の中まで入り、伸び上がってみてみたが、実どころか花も発見できなかった。未練たらたらで大きな葉っぱに手をかけ割くと細長く切れた、その葉片をもち匂いを嗅いだが青臭い匂いのみでバナナの香りなんどは全くしなかった。

 今になって図鑑で調べると、この日本にも育つ「芭蕉」は、確かに遺伝的には果物を産するバナナとごく近縁でほぼ同種と言っていい、その学術名も「ジャパニーズバナナ」というそうだ。実もなるが、しかし甘くておいしい果物の品種の実とは違い、種もあるし、小さく、たべても甘くないしおいしくない。

 熱帯まで旅行に行ってバナナの木を見れない以上、ごく近縁種で遺伝的にはほぼバナナと言っていい「芭蕉」の木を探して切幡観音参拝をきっかけに見学してきた。

 まず切幡観音に行く前に法輪寺で思いもかけずバナナの木を見た。鐘撞き堂の横のあった。何やら椰子の実のようなモノが長細い一本の枝の先にぶら下がっている。これは花?実?近づいてよく見る。



あとで図鑑で調べるとこれは「雄花序」といって雄花の塊で、はなびらのような「花苞」に何枚も包まれているのでこのように丸くなる、外側から一枚ずつめくれて開き落ちていく、下は開いた花苞から隠れていた花がたくさん見えている(たくさんの小さなイカのようなのがそう)。

 バナナ(芭蕉)の木といったが、これは草の仲間で、幹のようなものは葉がたくさん巻いたものである。

 法輪寺の芭蕉は果実がはっきりしないが切幡寺の芭蕉は実がなっているのがわかる。切幡寺の芭蕉、三つの花苞がぶら下がっているが真ん中の花苞の茎の上の方を見ると青い指のようなモノがたくさん見えるこれが果実である。

拡大すると
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モンキーバナナのような形になっているではないか。なるほど芭蕉はバナナの仲間だと言うことがよくわかる。ただ食用には向かない、堅いタネがあり、甘くもないし食材には向かないようだ。

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