2023年1月15日日曜日

暦注


 先日、百均ショップで100円の本を買った。左がそれである。細かい文字、数字、表が書かれていて、つまり内容濃密、おまけに160頁もある。それが100円(税込110円)とは信じられない安さだ。ただし表紙を見て分かるようにこれは「暦」の類いだ。しかしこのような本の体裁は「暦」と説明するより、易学に基づく「占い本の一種」と言った方が世間一般の認識である。

 占いの本にはいろいろな種類がある。西洋、中東、インドがルーツの「占い」もあるが、私が買った本は中国がルーツの「易経」や「陰陽五行道」、中国流の占星術などを基にしている。

 左の本はその中国式の占いも入ってはいるが、表題は「運勢暦」となっている。私は占いは信じる方ではないが、この本の暦の月日に入っている「暦注」、つまりある一日はどのような日であるか、曜日、十干十二支、その日の行事、節季、月齢、旧暦の月日、六曜、十二直、二十八宿などが日ごとに書き込まれているので毎年購入して、その日の暦注を見ている。

 ちなみに今日、1月15日の暦注は、癸酉、一白、大安、月齢は下弦、旧暦12月24日、小正月となっている(十二直、二十八宿も入っているが略す)。多くの人はその日が太陽暦の何月何日で曜日が分かればそれ以上は求めない、ただ冠婚葬祭がある場合は、せいぜい六曜の大安、仏滅、友引くらいを知れば事足りるものである。

 私は歴史が好きなので、古来から続いているその日の詳しい暦注を知りたく思いこのような本を購入し、参照引用しているのである。


 またこの本の占いの部分でも、荒唐無稽な記述はなく、ちゃんとした理論に基づく(それが人の運命に作用する妥当性があるかどうかは置くとして、論理としては矛盾なく成り立っている)説明がされていて、読むとその部分もなかなか面白い。詳しい説明は、この本を読んでもらうとして、理論の基本は、陰陽五行、もっというと五行相克(木火土金水)が運命に強く作用し、また九星の占いなどは(九星とは例えば私は四緑木星、など九つの色と木火土金水の五星がある)、左のような数学的な魔方陣がもとになっている。この理論も結構おもしろい。

 つい先日、えびす祭りがあった。解禁された露天が多く店を出していたが、昭和の時代にはこのような易学の本を売るテキヤさんがいた。フーテンの寅さんだと次のような売の口上になる。

 「さて、みなさん!天に軌道のあるごとく、人にはそれぞれもってうまれた運命というものがございます、そこのアナタ・・・」

 といって話術に引き込み、易学本を売るのである。

 しかし今は百均でこのような本が売られていてテキヤから買うこともない。

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