2024年11月4日月曜日

選挙の秋 


 この秋は選挙シーズンである。自民党内(議員、党員)の総裁選挙、立憲の党首選挙、そして衆議院の総選挙があった。これらはすでに終わった。残されているのは衆院での首相指名選挙だが、これはあまり意外性や不確実性はない、石破はんで決まりだろう。これは国内の選挙であるが、我が国にもっとも影響力のある国であるアメリカの大統領選挙明日(5日)に迫っている。時差や開票の遅れなども考慮すると、我々が結果を知るのは6日か7日になると思う。

 日本は憲法で自ら交戦権も認めていないし、また「戦力」も放棄している、そして輸入や輸出に大きく依存する貿易立国である。これはどうゆうことかというと、悪意ある国の侵略があった場合頼りにできるのは安全保障条約であるということ、そして太平洋の覇権を持つ国に逆らっては貿易立国は成り立ち難いということである。どちらも現在はアメリカである。このことからもアメリカ大統領が誰になるかは日本にとって衆院選挙、首相指名選挙以上とはいわぬが、それに匹敵するくらい関心のあるところである。これだけ依存する国アメリカであるから、できたらアメリカ大統領選挙も日本人が投票出来たら、などとアホぉげたことを考えぬでもない、しかしそうなれば日本もアメリカの一州となり合衆国を構成せにゃならんから日本が消滅するなぁ。そんなことは出来ん!まぁ要するに日本人が一票を行使したいくらい米国大統領選挙に関心があるということだ。

 日本の政治に対するワイの立ち位置、具体的にはどの政党や主義を支持するかっちゅうのはブログには書きとうない、若い時の経験から自分の持つ主義を明確にすれば他との議論も起こるし、白熱したら、スマートな対処もできないワイの性格だと人間関係にヒビが入ったり、結果として政治議論したことそのものが不快になったりする。だから政治的に明確な旗は上げないのをモットーとしている。ほにゃけんど一応外国であるアメリカのことならかんまんじゃろ。で、いうとワイはアメリカ「共和党」贔屓である。

 日本人のワイら一般人の共和党と民主党の違いの理解はそう細かいものではない。おおまかにそんなもんかと理解しているだけである。

 つまり共和党は『小さな政府、だから福祉などの政府支出は薄くなる、税も比較的抑えるので歳出も抑えられる、企業資本家には都合がよい、結果として自由競争を大きく認めることになる。そして現在ではこの党は保守の色合いが濃い思われている』

 対する民主党は『大きな政府、政府支出も大きい、大きい政府政策をとるので企業資本家に対する規制は比較的強くなる。福祉は比較的厚い、そして近年はマイノリティーの権利擁護、確立に力を入れている。いわゆるリベラルな政党である。』

 日本としたら、外交政策、貿易政策がこの二党でどのように違うかがもっとも関心が高いが、現時点で共和党を率いるのがトランプさん、民主党はハリスさんで、これは実際どうなるか正直どちらかが大統領になってみないとわからない。一概に一国独善主義または国際協調主義か、保護貿易主義または自由貿易主義か、のどちらかだとは言えない。

 さて私は先ほども言ったように共和党贔屓である。それはたんなる贔屓で、どちらかというと理性的なものではなく感情的なものである。それも歴史にもし「イフ・IF」があったらなぁ、という虚構の上にある感情である。

 明治以来西洋列強になんとか追いつきたい、というか半植民地にされないように営々と近代国家を作り上げてきたのが日本だったが、御存じのように昭和16年アメリカとの世界大戦を起こし、大日本帝国という明治から続いた近代国家は崩壊してしまった。日本史を勉強するワイとして、これが避けられる道はなかったのか、ずっと考えてきた。日米戦争が起こった昭和16年で考えると、この時はすでに日中戦争、仏印(東南アジア)への進駐などで、転がりつつある戦争への道は避けられなかったかもしれない。それでは日中戦争以前の昭和12年ではどうだったか。いやもっとさかのぼって昭和6年の満州事変の時点では、どうだったか。避ける道はきっとあるはずだと、当時のいろいろ資料、社会・政治情勢などを勉強してみた。

 かなり遡り(第一次世界大戦まで)考えても、日本が勢力拡大をめざし中国に進出する限りは日米の摩擦はいずれ起こっていたと思われる。ただそれは摩擦であって、国を挙げての総力戦ではない。それでも摩擦が続けば熱を持ち、いずれ火を吹く(戦争突入)。

 当時であっても、帝国主義に対抗する平和的な加工貿易立国論を唱え、「小日本主義」を唱える人もいた。具体的には、台湾・朝鮮・満州の放棄を主張し、自由貿易によって立国していこうという主張である。石橋湛山氏の主張である。しかし第一次世界大戦後、剥き出しの植民地獲得や、自国の植民地を囲い込んだ極端な保護貿易はなりをひそめたようにみえるが、果たして石橋氏の言うように当時の世界にあって、植民地を放棄し自由貿易のみで立国していけるかは、疑問である。日清、日露に勝利し、その結果として得られた植民地を一方的に放棄できるだろうか、またいろいろな権利を大陸に持ち、商圏拡大や中国に対する政治的影響力を強めてきた日本にとって、中国からの撤退は難しいだろう、軍のみでなく、庶民も否というのではないか。

 上記のような方策はとりえないとしても、とりあえず摩擦を避けるため中国への居丈高な関与はやめる。まず日中戦争などは起こさぬことである。そのうえで日米の摩擦となる懸案をなんとか取り除く努力をすれば、全面的な日米の衝突までに至らないことも可能である。しかしそれには国内的にかなりな努力が必要である。まず軍部を文民政府が完全に統制していなければならない、独走、暴走などはもってのほかである。そのうえで議会に重きを置き、大正デモクラシーで見られたように、議会多数派が内閣を組織し、上記の石橋氏のような自由主義的な考えを持つ人を重用するのが望ましい。自由主義と国際協調主義は相性がいいと考えられているので、中国を含めた対外政策は国際協調主義をとるのがよい。

 このような政策であってもやはり難しい、実現可能性はかなり低いと私も思う。しかし可能性はゼロではない。もし当時の誰であっても、未来を見通せることができ、昭和20年8月の日本の惨状をみれば、どのようなことがあっても、たとえ針の孔ほどの道であっても、それが唯一の道ならば上記のような方策をとろうとするだろう。 

 さて、ここからが、私が共和党贔屓になった理由となる。喧嘩(戦争)には相手がある。日米摩擦のいろいろな懸案は日本の努力で一つづつ取り除く、あるいは軽減するのであるが、相手、つまりアメリカの政治情勢、つまり大統領がだれか、そして議会の多数派である政党は何か、によっても、その努力の種類やその方向性が違ってくるし、また難度も違ってくる。特にこの「難度」日米の衝突を避けるため日本がアメリカに働きかける難しさの度合い)である。難度が小さいに越したことはない。しかしこれはアメリカのことであり、大統領が誰になるか、議会多数派がどうなるかは、いかんともしがたい。

 その上でいうと、昭和8年(1933年)から終戦(昭和20年・1945年)まで大統領職にあったF・ロゥズベルト(民主党)は、もう日本が絶望的になるほど難度が高いのである。もし日本が日中戦争を起こさず、国際協調を旨とし、融和政策をとったら、ロゥズベルトも少しは変わったかもしれないが、その場合でも、ロゥズベルト率いるアメリカ側からかなりな無理難題を押し付けられたかもしれず、日本がそれを受け入れられるかという問題も生じ、摩擦・衝突回避の難度が高いのは変わらない気がする。

 じゃぁ、大統領がF・ロゥズベルト(民主党)でなく、別の人、共和党の大統領だったら日本の対米摩擦や衝突回避に対する努力の難度は違ったのか?そう違ったのである。難度は極めて易しい方に傾いたのである。上記の日本の努力が中途半端でも、日米戦争は避けられたと思っている。なんでほんなこつが断定的に言えるのか?それが言えるのである。

 F・ロゥズベルトはんの前の大統領は共和党のフーバーはんである。一期しか務めず再選選挙ではF・ロゥズベルトに大敗してしまった人である。この人が回顧録(『裏切られた自由』)を書いているのである。その中で日米戦争の原因についてかなり詳しく言及している。その原因は日本に帰せられるよりむしろこちらの大統領F・ロゥズベルトの責任が大きいと書いているのである。そして「正義の連合国」対「邪悪な全体主義国」というロゥズベルトやその他の米国の人々の従来の見方を真っ向から否定する。そのロゥズベルトの責任については、第二次世界大戦にいたった真の原因は、じつはルーズベルト外交にあったのだ、とまで言い切っている。

 自分が選挙に大敗した民主党のロゥズベルトはんに対する批判だから少し割り引いて考えなければならないかもしれないが、彼は1929~1933年の期間共和党の大統領である、外交を統べ、アメリカ軍の最高司令官だった人である。だから第二次世界大戦に対する彼の考え方はぜひ知りたいと思い、彼の回顧録(『裏切られた自由』)を読んだ。前大統領のフーバーの書いた本の内容には正直、目からうろこが落ちる思いだった。彼の主張、とくになぜ日米戦争が起こらなければならなかったのか、という問いに対する叙述はまったく頷けるものであった。(日本も含めた)対外政策については、彼は古くからの共和党らしく孤立主義、不干渉主義をとった。

 そこで歴史のイフ・IFである。民主党のロゥズベルトでは日米摩擦・衝突、そして戦争へとの可能性がぐんぐん高まっていたが、もしフーバーはんが大統領で、日本側も摩擦・衝突を避けるため必死に上記のような努力をしたら、大戦争にはならなかったのではないだろうか。彼が再選され、また続く大統領も共和党から選出され1945年まで続いていたら、少なくとも日米戦争は(ヨーロッパ戦はわからない)回避しえたと私は思っている。

 絶対起こらない歴史のイフ・IFであるが、日米戦争が回避されていれば、約300万にも及ぶ日本人が死ななくてよかったのである。だから私は心情的に、その可能性があった共和党そしてその大統領を贔屓するのである。

0 件のコメント: