2022年6月19日日曜日

古希を過ぎたジジイがおもう父の日

  テレビ脚本家の内舘牧子さんの最近のテレビドラマの内容は70~80代くらいの老人老女がメインキャストであることが多く、それも一人あるいは一つのカップルに焦点を当てるのではなく、まるで60年経ち集まった同級生のグループのそれぞれのエピソードのような構成で結構面白い。自分も同じ年齢と言うこともありこの老後ドラマを見ていた。今まで作られた彼女の脚本の老後ドラマは『終わった人』『すぐ死ぬんだから』があり、現在BSで放送しているのは『今度生まれたら』である。70歳を超え余命も少なく、やり直しのきかない人生になって、それぞれの老人老女の、それでもあるものは昔の果たせなかったロマン、あるいはやりきれなかったこと、などを求めなんとかしようともがき云々・・・とドラマが展開していく。

 その『今度生まれたら』で主要な老カップルは風間杜夫、松坂慶子が主演している。年齢は私とほぼ同じ歳である。ドラマでは二人の息子が出てくるが長男は46歳、次男は40歳である。なんと!子なきジジイのワイからみると、「そうかぁ、ワイの年齢やと40代の息子がおっても不思議でないんやぁ」としみじみ思う、・・・とここまで読むと、そうかそれが今日(父の日)のブログの主題か。けっきょく子がないため父の日を祝ってくれることもないジジイの慨嘆交じりの繰り言か、と思われようがそうではない。

 実はこの次男を演じている俳優さんに私は幼かったときの父の面影を見たのである。この俳優さん、役では40歳だが実年齢は35歳、ショウユ顔なのでまだそれよりも若く見え、20代後半といっても納得できる。長男のほうは大企業のエリート社員であるが、この次男は山奥の小屋に籠もってギター作りをしているちょっとエキセントリックな役である。俳優さんの名前は毎熊 克哉さん、変わった名前であるが俳優の名として聞き覚えはない。顔も映画やテレビでみたことがなかった。

 十数年前81歳で亡くなった親父にずいぶん若いイメージを重ねるのかと思われよう。だいたいの人は頻繁に親父の顔を亡くなるまでみているもので、ワイらの年になって亡き親父!をイメージするとだいたい年寄っての親父が目に浮かぶのが普通であろう。しかし早くから家をでて祖父母に育てられた私からすると、ごくたまにしか顔を見せない親父は切れ切れのその時その時の親父のイメージが残っている、今になるとむしろ若い時の親父の顔が先に思い浮かんでくる。

 親父は私が3~4歳の時私の生みの母親と離婚して家を飛び出し、都会で働きながら時たま帰ってきた、そんなとき一切連絡が途絶えていた母でなく、たまに帰る父に幼い私はもっとも「父」というものを切望していた。祖父母にとっても私の親父は一人っ子であったため、時たま帰る親父を待ち望んでいた、私が幼稚園の時である「もうすぐお父ちゃんがおまぃにクリスマスのプレゼントをもって帰ってくるけんな、楽しみにまっちょりよ」といっていた、楽しみにしていたが帰ってきたのは年が明けてで、期待外れの土産であった(機関車の模型を買ってきてとねだっていた)こともあり、かなり失望したのを覚えている。その後小学校3年の時に再婚をしてからは、自分の親父であるという自覚はもてなかった、会って話しをしても何かこそばゆい感じがした。その後再離婚し、小学校4年の時に三度目の女性と家庭を県外でもったとき、男の子のあこがれである「父」を切望した自分はもう消えさっていた。

 その後、親父が死ぬまで時々こちらに顔を見せに帰ってはいたが、私とは22年しか年の差がなかったこともあり、年の離れた兄くらいの感覚だった。結局、私が心に思い描き切望した「父」は3歳くらいから小学校2年生くらいまでで、それも幻影を求めていたのである。その時期、たまに祖父母の家に帰ってきたときみた顔は(父はまだ20代であった)私の記憶の切れ切れの最初の一枚目に残っている、その記憶の顔とこのドラマ俳優・毎熊 克哉さんとのイメージが一致して遥か過去、「父」を切望していたことが思いだされたのである。

 昨夜、押し入れの奥から古いアルバムを引っ張り出し、親父の20代の時の写真と上に貼ってある毎熊 克哉さんとの写真を並べて比べてみた。客観的にみると似ていないかもしれないが、ワイの主観では、動いて演技している毎熊 克哉さんは私が憧れ切望した20代の「父」の雰囲気をよく残していた。

 その頃の父の写真(両方とも20代だが左が少し若い、正確な年齢はわからない

2 件のコメント:

Teruyuki Arashi さんのコメント...

小山さんのお父さんて、かっこいい人だったんですね。

yamasan さんのコメント...

そうゆうかんじはなかったですね。祖父母の育てられたからなんかよそよそしく、独身時代の話などもしませんでしたので、モテたかどうかも聞いてません。