2021年1月18日月曜日

大塚美術館・最後の晩餐の絵について 

 昨日大塚美術館へ行った。前日のブログで紹介したのは(日本美術関連の)特別企画展であった。それ以外の常設展のネタでブログを作ろうと思えば、古代から近代にかけての西洋美術の膨大な名画作品があるため、一年くらいそれでブログが作れそうである。しかし最近は西洋の美術・思想・宗教の潮流のお勉強も、10年以上も似たようなブログを書いていると、なんぼぉ~興味があるといっても、もぅ~飽きてくる! 最近は前もチョロッといったように中東・ペルシャ・イスラムの文化のおベンキョをしている。ここにはそっち関係の作品は全くない。

 どっか近隣で(汽車で日帰りできる範囲)中東・ペルシャ・イスラム関係の作品展示がないかと探すと隣の香川県に中津万象園・丸亀美術館、ちょっと日帰りができるかどうかギリギリだが岡山に岡山市立オリエント美術館、がある。なんとか見にいきたいものである。

 それでも昨日は大枚3300円(大人一人料金)も払ってみたので、特に有名な作品についてのブログは作ってこまそ、と思っている。そこでこの美術館ではもっともメインになる作品二つのうち今回のブログはレォナルド・ダビンチはんの『最後の晩餐』を取り上げようと思う。まずは昨日撮った動画を見てから話を進めようと思っている。この美術館の『最後の晩餐』の名画展示は、修復前のものと修復後の絵が比較できるように対面する壁に大きく描かれていることである(もちろん陶板のレプリカ原寸大だが)。

 

 偶然とは面白いもので、「最後の晩餐」を見たことについてブログを書こうと思っていたら、テレビの今朝のニュースでその「最後の晩餐」についてやっていた。


  日本人の科学者が遠赤外線より波長の長い電磁波を当ててこの絵画がフレスコ画ではなくテンペラ画であることを確認した、というニュースだ。なんか大発見のような気がするが、後でよく調べてみると、とっくの昔にこれはフレスコ画であると推定されていたもので、ただ日本人の科学者が科学的技法で再確認したに過ぎないだけの話であり、まあそれだけでも大したものだが世紀の発見のような大それたものではない。

 この「最後の晩餐」の絵はこの美術館の大人気の一つである。中高の教科書の挿絵でおなじみということもあるが先にも言ったように修復前と修復後の二枚が見られることも呼び物の一つである。この作品は保存状態や戦火の影響もあり痛みが激しいことで有名な絵画である。保存のためには修復が欠かせない、しかし安易な修復はオリジナルをブチ壊すこともあるので慎重に修復が行われなければならないが、その前後が見られるのは名画ファンにとってはうれしいことだろう。

 そして最近(といってももう10年近くにはなるだろうかなぁ)もう一つ注目を浴びてミィハァや猫あるいは杓子にも人気が出たのが、映画や小説の『ダ・ウィンチ・コォド』の影響である。特に映画の影響は大きかった。有名な映画なので解説は省くが、この映画の驚くべき主題は、なんとイエス様には嫁はんがいてその子供もいて、代々子孫も続いていたということである。敬虔なカトリックや原理主義的なクリスト教の人には驚天動地、宗教的アイデェンティティーを木っ端みじんにしかねない話である。キリスト教国では受け入れられない人が多いだろう。しかし多神教国で宗教に寛容な日本では面白い一つの説としてもてはやされた。そんなこともあって、この大塚美術館の「最後の晩餐」展示のホールでは座ってジュックリ観察する人が多い。そしてあれやこれやとキリストとその嫁はんについての話に花を咲かせる。

 その『ダ・ウィンチ・コォド』でイエスはんの嫁はんとされるのは、イエスの向かって左に描かれている聖ヨハネ、その実マグダラのマリアといわれている。確かに晩餐の席の使徒の中ではこの聖ヨハネはんは違和感がある。長い髪、女性のような顔、横に傾くからだと顔は歌舞伎の女方もかくや、と思われるほど女性を感じさせる。なるほどこの人、実は女性であるというと、日本人なら少なくとも外見上は誰もが納得できよう。


 『ダ・ウィンチ・コォド』の説ではないが、別の少数意見もある。こちらの方がクリスト教徒はもっと許せない説ではあるが。それは聖ヨハネはんは男である、がしかしこのヨハネはん、イエスはんの「お稚児さん」つまり男色の、もっと言うとホモ相手であるというのだ。男色はクリスト教ではソドミーといって地獄堕ち確実の最も恐ろしい罪である。教祖はんがそんなことありえないと考えられるが、日本人はクリスト教ちゃぁうのでこんな少数意見も結構流布している。

 私としてはヨハネはんがキリスト最愛の(行為はともかく男色の情緒濃い間柄)弟子であった方の説がありそうであり、そっちに同意する。クリスト教以外の各宗教を見ると、教祖はんは性的に誰とも交わってはいかんとは考えないし、事実もそうである。回教の教祖ムハンマドはんにはよ~け嫁はんがいた(もちろん子供も)、またブッダもしかり、ブッダは最愛の弟子アーナンダがいてこの弟子はブッダのお稚児さんであるというのは有名な説である。

 下はエル・グレコが描いた聖ヨハネである。顔なんどは女性にもまた美しい少年にも見える。これを見るとイエス最愛の・・という言葉が意味深に(つまりホモ相手じゃないか?)見えてくるのは、神をも恐れぬ異教徒の妄想だろうか。

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