2022年10月4日火曜日

砂糖の話 その1 まず原料になるサトウキビ畑を見にゃぁ

 これから何回かに分けて砂糖の話をしようとおもいます。その動機なんぞについてはいずれお話ししようとおもっておりますが、ともかく砂糖は何から、どないしてできるか知ることがまず第一と思い、今日はその砂糖の原料となるサトウキビ畑を見に行ってきました。

 手ンごろ易く「サトウキビ畑を見る」っつぅたって、これどこにでもおまへんでぇ、サトウキビ畑が普通に農地に広がっているのは、沖縄、鹿児島の南西諸島以外ない。というのもサトウキビは熱帯~亜熱帯の作物だから、沖縄、鹿児島がその作付けの中心である。でもつくろうと思えばもう少し北の九州や四国がだいたい北限である。その九州、四国でも 現在はほぼ作付けはゼロ、輸入物の上白糖が安く入る今、わざわざ作る人はまずいない。

 しかしうれしいことにわが徳島では伝統産業の一つとして江戸期から阿波三盆糖として知られている白砂糖をつくっている。そのため板野郡上板町ではその阿波三盆糖の原料となるサトウキビを現在でも畑で作っているのである。そしてなおうれしいことに今は10月、サトウキビの収穫は11月下旬である。そのため今頃になるとサトウキビは丈高く、ほぼ成長を終えている。そして大きさはそのままで、急激に温度が下がる10~11月末まで糖度を高め、刈り取りを待つのである。だから写真撮影には丈高く成長した今頃がちょうど良いのである。冬や春、初夏には成長の時期の関係で見事なサトウキビ畑は撮影できない。

 サトウキビは亜熱帯の作物なので夏の高温が必要である。そして阿波の夏の暑さはそれに適している。また多くの降水、水が必要ではあるが、水はけが良くなければならない。だから吉野川流域の低湿地帯には向かない。砂礫地で微高地、しかし小河川が流れ、灌漑にも適したところがよい。この地理的条件に当てはまるのが阿讃山脈の南側の谷に広がる「扇状地」である。現在サトウキビ畑が広がる上板はこの条件に合っている。

 下は阿讃の谷から広がる扇状地の立体鳥瞰図、地形ポイントの技の館から松島千本桜のあたりにサトウキビ畑がたくさんある。河川は泉谷川とその支流の小河川、微高地で水はけ良く、灌漑もたやすい。

 この技の館~松島千本桜あたりに広がるサトウキビ畑に行って、写真撮影をしてきました。扇状地は要部分に向かって上りなので行くときは自転車を漕ぐのがキツかった(そのかわり、帰りは漕がなくともよかった)


一見、トウモロコシ畑か、ある種の飼料作物か、そうでなければ丈高い雑草か、と思われそうだがこれが「サトウキビ畑」である。



 大人が隠れるほど丈が高い。


根元部分の茎をみるとまるで竹のようである。別名、「竹糖」とはよく言ったものである。


道路に沿って何面ものサトウキビ畑がある。下のサトウキビ畑は先日の台風の影響でかなり倒れていた。サトウキビは2mを越す高さになるので強風には弱い。倒れたサトウキビは除去されているので、全体にまばらで貧相な感じを受ける。


 竹のような堅い茎の中に糖度の高い汁が入っている。霜がおり始める頃に最も糖度が高くなるため刈り取る。私が子どものころ(昭和30年頃)は鴨島あたりでもサトウキビ畑があった。そしてこの茎を5~10cmくらいに切ったのをおやつ代わりに何本かもらって食べたことがある。茎の皮を縦にむき取り、白っぽいズイの部分を出し、それを噛むととっても甘い汁が出てきてそれを啜った。吸い終わるとカスカスの荒い繊維質が残った。このようにサトウキビの切った茎をおやつのようにすすった経験をもつ人は70代以上の人だろう。

上の地図の技の館のすぐ横が阿波の伝統産業、阿波三盆糖製作所がある。

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