2022年10月25日火曜日

砂糖の話 その6最終回 金平糖

  眉山山麓に周回遊歩道がある(眉山病院から神武天皇像までの道) そこを少し散歩をしようとアミコビルから向かったが新町橋を通って天神さんにつく頃にしぐれてきた。雨宿りのつもりで阿波踊り会館に入った。中には郷土の土産物売り場がある。いろいろ見て回ったがその中に阿波三盆糖のサトウ菓子があった。


 このブログで砂糖の話を書いて6回目となった。ブログの最初は原料のサトウキビから始めた。そして今も我が郷土に残るサトウキビ畑、伝統の砂糖産業などについて書いた。それから作られる菓子などについても取り上げたが、その伝統の阿波三盆糖のサトウ菓子、考えたら食べたことがなかった。どんな甘みか一つ買ってたべてやろうと、その和三盆糖の詰め折りの値を見た。徳用マッチ箱より一回り小さい箱にいろいろな色や形の詰め合わせが2000円である。

 バラで小袋に十円玉くらいの和三盆糖菓子が一つ入ったのもあり、これは200円くらいだった。どんなものか味わうために買うならこれがいいかなとおもったが、そこでちょっと考えた。子どもの時の記憶のどこにもこんな上品な「阿波三盆糖のサトウ菓子」など食べたことがない。さして余生も長くない私である。おそらく生涯一度となるその試食は意味あるのか、そう考えると、子ンまい時、祖父母に育てられた家に客用のお茶うけとしていつも茶箪笥にあった、金平糖の甘みがなぜか思い出されてきた。

 「こんな爺になって今更高級なサトウ菓子の甘みを味わうより、もうずいぶん味わったことのない、あの懐かしい金平糖の甘みをまた味わいたい」

 と思い返され、結局、阿波三盆糖のサトウ菓子を買うのを止めた。ここの土産物売り場には金平糖などない。近くのコンビニに寄ってみたがやはりない。砂糖のブログの話を書き始めてからスーパーの菓子売り場でどんなサトウ菓子があるのだろうと思って見たこともあるが、金平糖は私がよく行く佐古ハロウズにも佐古コスモスにもないことは確認していた。そうするとどこにある?

 前にアミコビル一階の無印良品でサトウ菓子の一種、綿アメを買ったことを思い出し、そこで探すとあった。一袋税込みで99円、なんと安くて庶民的な菓子であることよ。

 安もんの金平糖と馬鹿にすることなかれ、金平糖は歴史的に見ると西洋菓子のルーツでもある。16世紀南蛮人が渡来したとき持ってきたのが金平糖。そしてコンペイトウの名はポルトガル語のコンフェイトから来ている、これは(英語の)菓子というconfectionとも同じ語源である。18世紀末ころ生まれた和三盆の菓子より歴史は古くその名も由緒があるのである。

 袋を破ってポイっと口にいれた。小さな石をくわえた感じだ、歯に当たるとカチッと音がする。そんなに甘みはない、でも舌でころがすと甘みがジュワ~と口中に広がる。あめ玉とは違った、なにか清涼感のある甘みだ。大昔祖父母の家に常においてあったお茶うけの菓子の味だ。

0 件のコメント: