2023年7月24日月曜日

DVD「寅次郎かもめ歌」の紹介

  僭越ながら、sさんに少し今回の映画「寅次郎かもめ歌」のご紹介をさせていただきます。

 寅さんシリーズ映画全47作の中で、前回(39作)と今回(26作)のは私のお薦め作品です。鑑賞に当ってはいろいろな観点からご覧になれますが、まずロケ地です。徳島県人として嬉しいのは、全47作シリーズ唯一の徳島ロケが行われたことです。主なロケ地は北海道の江差・奥尻島、そして東京の葛飾・柴又ですが、ドラマのオープニングとエンディングのもっとも印象的な部分のロケ地が我が徳島・鳴門となっております。

その1 オープニング


 例のごとく夢から覚めた寅さんのいるのは鳴門・大津にある「厳島神社」、小さな特徴の無い神社なので全国にあるどこかの神社だろうと、見過ごされてしまいますが、我が徳島・鳴門の神社だったのです。また夢から覚めて魚を釣っている池に波音を立ててしまい、地元の子どもから「おっちゃん、いらんことすな」と阿波弁で叱られているので、これも阿波のロケ地だなと確認できます。

その2 終末部分

 鳴門・大麻の「一番札所霊山寺」山門前が出てきます。山門前は43年たっても今と変わっていませんね。

その3 エンディング


 堀越海峡を渡る寅さん、そして四方見展望所で思いもかけず北海道から巡礼ツアーに参加していた北海道奥尻のイカ裂きのおばちゃんに会います。そして一緒にバスに乗り今夜の宴会を一緒に楽しむことになります。まさにフーテン暮らし寅さんの面目躍如というところでしょうか、そして四方展望所から下りの橋をバスが降りていくところでエンディングとなり、背景がパンして、美しい瀬戸内海国立公園の遠景が映し出されます。なんか満足感漂うイイ終わり方となっています。

※ なお別添えの地図に1~3までの位置を記してありますのでご覧ください。

 主演はキャンディーズのランちゃんですね、「普通の女の子に戻りたい」といって引退したのが1978年頃のことかな、その二年後の映画の中では、まさに普通の娘どころか親もいないかなり貧しい働く娘として登場します。高校中退のハンディを克服したいため、夜間高校に入学する健気な女の子です。そしてまるで我が娘のようにサポートする寅さんが、いらぬお節介になりそうなところが見所の一つです。

 この作品は昭和55年です。この頃はまだ掃除夫やトイレ掃除人に対する偏見や差別が残っていた時代です。このずっと後になって「トイレには神様が宿る、だからトイレは綺麗にしなければならぬ」と、汚いものを綺麗にすることが尊いことだと、ようやく人々は思い始めます。トイレを掃除する人に感謝の念も芽生えてくるのです。そんな古い時代の観念の中にあって、夜間高校の国語の先生が授業中に読まれた「トイレの歌」にはちょっと感動します。この詩は映画の創作でなくある詩人の作品です。

 夜間高校には年配の生徒もいますし、当時はやったリーゼントの若い兄ちゃんも生徒として登場しています。夜間高校のクラスに、今は渋い中年役のイイ演技をする「光石研」がその当時の生徒のリーゼントの兄ちゃんとして出演しています。若いなぁ。

 ロケ地の鳴門・大津の厳島神社の周りはレンコン畑です。今周りは、大輪のハスの花が咲いています。男はつらいよの主題歌の中に「♪~ドブに落ちても根のあるやつは~♪、いつかはハチス(ハス)の花とぉ~咲く~♪」とあります。フーテン暮らしの男一匹、私(小山)自身と重なるところがあるような気がします。寅さんも哀しいことですが、いつかは・・と願いながらハチスの大輪の花が咲かずに終わった気がします。この映画の時、私は29歳、いつかはと願いながら、やはり寅さんのように咲かずにこの歳を迎えました。しかし私が見るところsさんは十分、開花しましたね。

 この鳴門・厳島神社の辺りは今の季節大輪のハチスの花が見られると思います。ロケ地めぐりにいかがでしょうか。

 長々といわずもがなの紹介でしたが、百聞は一見に如かず、どうぞ映画『寅次郎かもめ歌』をご覧ください。

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