2021年3月27日土曜日

今日は何の日

  日本ではキリストさんのお誕生日を知らない人はまずいまいが、お釈迦様の誕生日となると知らない人が多い。半数も知っていればいい方だろうか。キリスト生誕はクリスマスとして祝われるが、お釈迦様の場合も御生誕の日の儀式として(昔は結構盛大に民間でも行われた)灌仏会があり旧暦の4月8日(最近は新暦やる場合もある)にひらかれていた。だが現代はクリスマスほど一般化していない。私が小学生の頃は近所のお堂で灌仏会が開かれ、子どもで信仰心はないにもかかわらず、行って手を合わせば甘茶やちょっとした菓子がもらえたのでこの日のことはよく覚えている。

 お釈迦様の誕生日のことを知る人は少なくなったが、それ以上に知られていないのが、お釈迦様のなくなった(涅槃に入られたというが)日である。はて?いつだったかしらん、お坊様以外で知る人はまずいまい。誕生日が「灌仏会」ならこの日は「涅槃会」というが、この日は2月15日である(もちろん旧暦だ)。最近の傾向として、古くからの伝統行事も新暦の相当日で済まそうという傾向がある。

 「涅槃会も新暦の2月15日でええんとちゃぁうん、旧暦だと年によっていつに当たるかよ~わからんから、新暦(太陽暦)がつごうええやろ」

 などと涅槃会も太陽暦2月15日に合わせているということを聞くが、これはいささかまずい。二つ理由がある。涅槃会図は仏具画として千数百年にわたって描かれてきたが、上の「涅槃図」を見てわかるように涅槃図は横たわる釈迦を取り巻く弟子たちとともに沙羅双樹と満月は欠かせない重要ポイントである。旧暦の15日でなければ満月にはならないことがその理由の一つ、そしてもう一つはこれが私には最も重要だと思われるが、この日は必ず仏滅日になるということである。大安吉日という言葉で知られるように各日には六輝・(六曜ともいう)が割り当てられている。大安・友引・先勝・先負・赤口・仏滅の6つであるが、もし太陽暦の2月15日を涅槃会にしてしまうとこの日は上の6つのどれにでも当てはまる場合が出てくる。文字通り「仏滅」ならばすんなり受け入れれれるが、これがもし大安となると結婚式ではあるまいし、はなはだ(信心深い人には)不都合であろう。

 旧暦の各月が全部30日であれば6の倍数で永遠に月日と六曜が一致するが、ご存知のように旧暦は一月が29日の日もあるので月日と六曜は一致しない。それを避けるために旧暦は、お釈迦様のなくなった月の15日の満月の日は必ず仏滅になるように2月1日の前日の晦日がどんな六曜であろうとも2月1日は必ず「友引」となるようにしている。そうすると順次まわって2月15日が仏滅になるようになっている。このように各月の始まりの1日は前日とかかわらず指定された六曜になっている。だから旧暦で月がまたぐ晦日と一日の日は六曜の順序が違ってくる。一年は12か月あるので、1日が友引に指定される日はもう一度、旧暦8月にある。だから旧暦の8月15日(この日は中秋の名月だ)も必ず仏滅となる。

 その旧暦の2月15日が今日である。詳しい暦には小さな文字で旧涅槃会と書かれているが先も言ったように世の関心は少ない。

 昨日は眉山山頂へ桜を見に行ったので写真をアップします。

 山頂からの眺め


 桜とパゴダ、目立つのは放送の鉄塔であるが、その左、枝垂れ桜の枝の下に先端が少し見えているのがパゴダである。


 お釈迦様が涅槃に入られたあと火葬にされ遺骨遺灰が八つに分けられ(インドの)それぞれの国に持ち帰って塔をたて、なかに遺灰遺骨を安置し祀ったのがパゴダの起源とされている。

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