2020年5月5日火曜日

一億萬遍

 あらゆる災厄を防ぐという「光明真言」、以前、石井町にその光明真言を百万遍唱えた功徳を祈念した石塔「光明真言塔」を紹介したが(そのブログ、クリック)、今日、井戸寺の南を自転車で通っていて光明真言一億万遍の石塔を見つけた。石井の百万遍もすごい数だがさらにそれの百倍の一億万遍とは恐れ入る。石井の真言塔もこちらの塔ももちろん一人で唱えたものではない。石塔表面を見るとどちらも「講中」とあるから多くの同志(知識)がとなえたのべ総数である。光明真言は慣れて早口で唱えれば5秒もかからぬが、しかしいくらのべ総数とはいっても一億万遍大変な人の数と時間がかかるだろう。

 まさか何か作業(農業、家事など)をしながら唱えるわけではなく、それに集中しなければならないからどこかの家、あるいはお堂、寺などに集まって講を組んで唱えたのだろう。唱えっぱなしでは何遍唱えたかわからないので、例えば大きな数珠の輪を繰りながら一まわり爪繰れば百回とかで数えたのだろう。それにしても一億万遍とは大したものである。さぞや御利益も大きかったに違いない。

 光明真言を数多く唱えるのは江戸時代にウチラの地方で大流行した。今はお遍路さんなどがお四国の寺などで一回あるいは数回唱えられるのをたまに聞くくらいである。この石塔が建てられたのは明治になってはいるが年号は明治三年、廃藩置県の前年で、徳島藩の時代である。江戸の信仰、風俗がまだまだ強く残っていた時代である。

 なお、石井の光明真言塔の上部の種子はアーンク(大日如来)こちらは「ア」の種子(こちらも大日如来を表す)である。真ん中の石仏は右手の持ち物が書けているので何の仏さんかちょっと断定できない。(地蔵尊か?)白毫があるから「大師像」ではない。右には庚申塔もある。(この三者、他にあったものを区画整理でここにまとめられたものかもしれない)

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