2019年9月16日月曜日

博物館の庚申塔を見て思ったこと

 前のブログで庚申信仰にちょっと触れたが、今日、文化の森県立博物館を見て回っていると江戸・安永期の庚申塔が展示してあった。庚申塔の場合最も多いレリーフは青面金剛であるがこれもそうである。下には三猿も彫ってある。悪鬼を踏んずけ、片手に人をつかんでぶら下げているのに注意してください。

 下は県立博物館の阿波・名西郡神領の庚申塔

 解説を見ると神仏習合の特殊な形態を示すとある。前に紹介したのは天正寺で青面金剛が御本尊の仏寺である、しかし解説を読むと神道でもこの石仏を祀ったようで、その場合の御神体は猿田彦となるそうだ。だから天正寺でもそれと関連してか「猿」の石像があったわけだ。

 下の青面金剛の一般的像である。

 この庚申塔の青面金剛、見ると不思議なお姿をしている。着色はされていないが文字通り青いお体で、腕が六本ある。そして剣とともに片手には人の髪の毛をつかんで人をぶら下げている。そして足では悪鬼だろうか踏んずけている。
 悪鬼を踏みつけ、片手では髪をつかんで人の頭をぶら下げる御神像を見ているとインドのある神像を思い浮かべた。「カーリー神」である。インドではこのように描かれている。

 見るからに恐ろしくて、気の弱い人は卒倒しそうなものすごいお姿だが、インドでは大いに信仰され人気のある神様である。インドのこのような神々は7~8世紀以降、密教をつうじて仏像にも影響を与えたといわれている。飛鳥、奈良時代のお優しい如来さまや菩薩様が空海以降の密教系の仏さまになると憤怒の表情、火炎、剣などを伴い踏みつけられる悪鬼など怖い仏像が増えてくる。これも密教を通じてインド系の神様が仏像に取り入れられたからなのだろう。
 青面金剛のルーツがカーリー神とであるとはいえないが全面青いお体や片手で無造作にふん掴んでぶら下げている人(生きているのだろうか)、そして踏んずける悪鬼などを見ると私はこのインドのカーリー神を思い浮かべるのである。

 博物館から出て文化の森の丘に登った。下には園瀬川がゆったり流れていて途中橋も架かっているしなかなか素晴らしい眺めである。帰りにあの橋のところを通って、あそこでしばらく涼しい風に吹かれようとおもい、行ってみると中学生が5人、橋の下で泳いでいた。誰もいないと思ったのに興ざめですぐ引き返した。あとで下の写真を引き伸ばすと泳いでいる中学生が写っていた。写真を撮った時は誰もいない場所と思ったのだが。遠目がきかないのでわからなかった。

 拡大図

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