下浦駅から北東にすぐ、こんな史跡があった。自転車で偶然通りかかって見つけた。調べると16世紀、阿波に三好氏が勢力を持っていた時の三好方の氏族の城である。本能寺の変のころ(1582年)阿波に勢力を伸ばしてきた長曾我部軍がこの城を攻めたとある。
ここにあるこの轟城の轟、画数の多い漢字だが、読めない漢字ではない。わが県にはこのほかに地名として「轟の滝」があったりするから、轟は地名としても一般的である。(ほかにも調べれば県下にありそう) 漢字は中国で発明されたが、轟を構成している「車」という字は非常にわかりやすく象形文字の形が残っている。二輪車を真上から見た図である。見るからに車そのものである。その車が三台(多くという意味だろう)集まって、道を疾走すればゴムのチューブタイヤもない車輪である。さぞかしゴロゴロとやかましかったに違いない。それで『とどろく』という意味が発生したのも頷ける。
日本の古代中世では中国ほど車は普及しなかった。乗車用の車でほとんど唯一知られているのが牛車である。平安貴族が乗り、牛に牽かせてゆっくりペカタペカタと移動していくイメージだから、多くの牛車が並んで疾走し、車輪がゴロゴロと轟くことはなかったんじゃないかと思われるが、絵巻物を見ていて多くの牛車が競争するように疾走し、ぶつかりそうになり、まさに車輪を轟かせんばかりの図を発見した。下の図、平治物語絵巻。手前の牛車の車輪の輻(スポーク)も見えないくらい車輪が高速で回転しているのがわかる。暴走状態になっている。車に敷きつぶされている人もいる。
轟のように単漢字を三つ組み合わせて新しい漢字を作ったのでよく知られているのは森であろう。木二つでハヤシ、木三つでモリ、それじゃあ四つでは・・・ジャングルというのは冗談!
木があるのだから、水はどうだろう
こんな字あったかな?実際にあります。読み方は「ビョウ」、意味は、ひろいさま、とある。
じゃあ、火はどうだろう?二つは炎だが
これは?こんなの見たことがない?でも本当にあります。読み方は「エン」、意味は、ほのお、なんじゃ!炎と同じ、ということは存在していても使う時は画数の少ない炎を使うわな。
牛車が出てきたついでに、「牛」を三つ重ねてみる。
少しむつかしい漢字だが読める人は結構多い。ひしめく、音読みではホン、上図でも牛がたくさん出てきて犇めく状態になってます。
牛が出てきたから馬はどうだろ
こんなのあるかな?あります。読みは「ヒョウ」、意味はたくさんの馬、なんやそのままやないか。
動物ついでに最も身近な動物、犬はどうじゃろ
三つ重ねると、読みは「ヒョウ」、意味は意外だが、つむじ風、なんでやろ、ちょっと考えさせられる。
最後に女が三人よったら?これは言葉が悪すぎて差別になりかねないからやめておきます。
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