なぜ人は他者、それも特定の者を求め結びつこうとするのか、ある説より

　各生命はそれぞれ「個」でもって存在している。最も原始的といわれる「単細胞生物」・バクテリアでも１個、２個・・・と数えられる。
　この単細胞生物の一個は、その個数を増やすのにパカッと分裂する。分裂すれば二つだ。

　じゃあ、逆に２個の個体が合体して１個になるのがあるのだろうか、分裂ほど多くはないようだが、原始細胞においてはあるらしい。いったい何のために合体するのだろう。理由はいろいろあるらしいが、ここでは深く追求しない。

　まあ、生物には分裂、合体があるということを認識するだけでよろしい。

　生物は・・・といったが、話から分かるようにこれは原始細胞に限定されている。しかし、古代ギリシャのある説では人間も分裂、合体をするそうである。

　いったい古代ギリシャの誰の説なの？と聞かれるでしょうが、これは私が確かに聞いたということで、またまた深く追求せずに話を進めます。

　さて、「自己」のまわりには「他者」がたくさんいる。（単細胞の「個」とおんなじだ）　一定以上の距離を取って存在している。親和性の高い「個」同士もいるし、逆に反発する「個」もいる。いくら親和性が高いといったところで、一定以上の距離をとって「個」同士別々に存在するのは当たり前である。

　ところがここに特別な２個が存在する。それは親和性が高い同士というような次元ではなく、お互いに引き合い「合体」に向かって進んで行く。
　「個」同士の結びつきでなく、個同士が融合した「合体」である。

　ギリシャ人はなぜ特別な２個が合体を求めるか、についてある説を出した。
　それはもともと、だからまあ原初の時代ということにしましょう。完全な個体として一つのものであった。ところがゼウスの気まぐれか、何かの天変地異か知らないが、無理やり、２つに分裂させられた。
　原初、完全な個体として気持ちよく世界をゴロゴロ転がり幸せだったのに２つに分けられ、さびしく、かつ不幸になった。
　それゆえ、その２個はお互い引き合い、合体を求めるのだそうだ。

　その原初の完全な個体とはこのようなものであろうか、下手くそながら描いてみた。

　なにやらピカソやマチスのシュールな絵のようですが、私の貧弱な想像力ではこんなもんです。

　片割れがもう一方の片割れを求め、合体を目指す。
　これって男女の恋愛そして生殖活動（合体といえなくもない）を意味するものじゃないのか。実際、ギリシャ人はそのように説明している。

　面白そうな神話的な話だなぁ、で終わりそうですが、これは科学的にもなかなか示唆に富む話だと思うのです。

　皆さん、生命は最初は無性生殖をしてましたよね、ところが高等生物になれば、「個」はオス、メス、に分かれます。別々に♂・♀の生殖細胞を作り、それを受精によって合体させて新しい「個」を生みます。
　なぜこんな回りくどい方法を生殖でとらねばならないのか、一発で個から個へ単性生殖がシンプルで早いと思うのですがね。

　この回りくどい方法を（♂♀にわざわざわけ、また、生殖で、合体させ、新しい胚・個を作る）とったのかの解答は・・・・・？
　ご安心ください。最近の科学の発達はこのような難問にもこたえてくれます。そのわけは・・・・

　で、以下にその根拠を述べればいいのでしょうが、そんなことはどうでもよろし、ここではその話は重要じゃありません。大事なのは、『生物が♂♀に別れ、・・・・また再び合体するの過程』であります、これは最初のギリシャの神話的話とよく似ているとは思いませんか。

　ギリシャ人はこの合体を求めて引き合うものは、男女に限定しませんでした。パカッと別れた時、男同士、女同士もあると考えていたようです。
　キリスト教倫理からは男同士引き合い合体を求めるなんどということは神への冒涜、反自然と考えられていましたが、「イデアの世界」好きのギリシャ人は、イデアの世界では、このような男同士の合体を目指す文字通りのプラトニックラブは認められるどころか、ソクラテスはんもプラトンはんも、美少年相手に実践したといいます。
　私の見るところ、ギリシャ人はプラトニックラブで満足したとは思えません。男女のように肉体的にほんとに「合体」したんじゃないでしょうか。オーラルもありますし、、アナルもありますし、わかりませんねぇ～

　ああ、思い出しました。これに関連したブログを前に書いてました。
　これです。（クリック）
　アンドロギュノス、興味のある方は、覗いてみてください。