2012年4月20日金曜日

メリケン流行歌小史学習ノート 9頁

1、ブルースからロックへ  
1、リズム&ブルース
 リズム&ブルースは40年代後半から50年代前半にかけてできたジャンルである。
 ブルースはアメリカ南部で黒人の生活の諸問題をうつした音楽として発展したのに対し、リズム&ブルースは都会で都会生活を謳歌する黒人たちのダンス・ミュージックとして誕生した。

 30年代都会の黒人の人口が流入によって急増し、ジャズやブルースの新たな市場が生まれた。この中のミュージシャン、リロイ・カー、カウント・ベーシー、T-Bone・ウォーカーなどの演奏するジャズやブルースにリズム&ブルースの前兆を見ることができる。
 またこれまでのピアノやサックスに代わりエレクトリック・ギターがリード楽器として登場してきたことも大きな要因と考えられる。

●プロフェッサー・ロングヘア
「She Ain't Got No hair」

●ルース・ブラウン
「Teardorop From My Eyes」

2、リズム&ブルースに基づいた50年代のロック
 50年代に黒人が演奏するリズム&ブルースは、ポップミュージックを聴く白人聴衆には人気がなかった。しかし、ファッツ・ドミノ、チャック・ベリー、リトル・リチャードらは自身のヒット曲をポップ・ヒット・チャートにのせ、やがて白人たちの人気を得るようになった。
 
 また南部黒人ミュージシャンによって発展した、ブルースをベースにしたリズミックなピアノ・スタイルである「ブギウギ」ロック・ピアノ・スタイルの基本となった。

 で、ここでちょっと幕間となりまして・・・・・・私の作った動画で和臭ただようブギウギを載せたものがあるのでどうぞ。

 
●ミード・ラックス・ルイス
 ブギウギスタイルのピアニスト、左手で強力なベース・パターンの繰り返しに加え、右手は華麗な装飾的なメロディーを奏するスタイルを確立。
「Honky Tonk Train Blues」

●リトル・リチャード
 リズム&ブルースからロックンロールへの変遷において最も重要な働きをしたのが彼である。50年代のロック・スタイルを作り上げた。
「Long Tall Sally」
「Good Golly Miss Molly」

●チャック・ベリー
 ブルースとリズム&ブルースに根ざしたシンガーでギタリスト。白人カントリー&ウエスタンの影響を受けて、音楽はロックンロールであった。
「Rock and Roll Music」
「Roll Over Beethoven」

2、カントリー・ルーツ 
1、ロックに影響を与えたカントリー・スタイル 

 北米にはイギリスを中心としたヨーロッパから大量の移民が流れ込んだ。このためアメリカにはさまざまなダンス音楽や歌が持ち込まれた。それらがミックスされアメリカ南部、南西部の山岳地帯では南部フォーク・ミュージックとして根付いた。
 楽器は自由に持ち運べるギター、ヴァイオリン、マンドリン、黒人たちの作ったバンジョーなどを使用し、音楽の単純な3~4コードを中心にしたものが多かった。初期のこれらのフォーク・ソングは『ヒルビリー・ソング』と呼ばれていた。

 20年代に始まったラヂヲ放送により、アパラチャ山岳地帯のマウンテン・ソングやフォーク・ソング、ウエスタン・カウボーイ・ソングなどがアメリカ全土で注目されるようになる。テネシー州、ナッシュビルがカントリー・ミュージックのメッカとなる。

 40年代には黒人のブギウギのリズムとカントリー・ミュージックの組み合わせで『ヒルビリー・ブギ』が生まれ、これに徐々に黒人のブルースやジャズの要素が取り入れられるようになり、後のロックンロールの発展に重要な役割をになう。

「Red River Vally」
「In the Jailhouse Now」
「Honky Tonk Blues」
「Nobody's Darlin' But Mine」

2、ブルーグラスとカントリー・ミュージック 

 ブルーグラスは、アメリカのアパラチャ南部に入植したスコッチ・アイリッシュの伝承音楽をベースにして、45年末から後に発展したアコースティック音楽のジャンル。

「Blue Moon Of Kentucky」
「Foggy Mountain Breakdown」

3、カントリー・ミュージシャンによるブルースおよびリズム&ブルース 

 リズム&ブルースの人気が白人ティーンエイジャーの間で高まるにつれて、カントリー・ミュージシャンがリズム&ブルースの録音のカバーを始め、同時にブルースやリズム&ブルースのミュージシャンがカントリー・ミュージックをカバー、40年代後半から50年代初期にかけてそれらのスタイルが結合していく中で、ロック&ロールは新しいスタイルになりつつあった。

 もともとカントリー・シンガーでギタリストだったビル・ヘイリーは進む路線を変え、ロック・スターになっていく。

「Rock Around The Clock」

4、ロカビリー 

  もともとディスクジョッキーをしていたサム・フィリップスは50年に小さなレコード会社を設立する。そして54年に若きエルビス・プレスリーを発掘しリリース、大ヒットさせる。
 エルビス・プレスリーの出現はアメリカのティーンエイジャーにロカビリー(ロック+ヒルビリー)をもたらした。
 最初、エルビスは主に南部を中心にラジオ番組で歌っていた。まだこの頃はカントリー・シンガーと見なされていた。その後、RCAと契約、スターへの道を歩む。

「Hound Dog」



5、ロカビリーの影響を受けたロック 

 バディ・ホリーはエルビスに影響を受けてロックンロールに導かれたが、彼のロック・スタイルはブルースとカントリー・ミュージックが一つになって出来上がっている。
 わずか22歳で飛行機事故で亡くなるが、初期のロック界で目覚ましい活動をし、多くのアーティスト、中でもビートルズ、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、エリック・クラプトンらに大きな影響を与えた。

「Mayby Baby」
「Peggy Sue」
「Early in the Morning」

3、ゴスペル・ルーツ  
1、ゴスペル・ミュージック  

 南北戦争が終わり奴隷制度が廃止されると、黒人は自分たちの教会を建て、礼拝にアフリカのコール・&・レスポンスを持ち込んだ。
 そこでは牧師が呼唱(call)を行い、参集者が答唱(responce)で応えるといった方式で、時には牧師が熱狂のあまり失神することもあった。
 ゴスペル・ソングは教会だけでなくエンターテインメントの一つとしてあらゆる場面で演奏されるようななって行った。

「Oh Happy Day」 

 ゴスペル・ブームに火をつけたのはウーピー・ゴールドバーク主演の映画『天使にラブソングを』であったが、その続編で歌われた下の曲が世界的にヒットし、ブームを盛り上げた。

「Joyful joyful」

2、ドゥー・ワップ 

  ゴスペルがよりポップな形をとったドゥー・ワップの特徴は、メロディー以外は「ドゥーワッ」「シュビドゥビ」「ドゥビドゥワ」といったナンセンス・シラブル(意味のない音節)でのスキャットにあり、それがドゥー・ワップの名の由来になった。

 コード進行 [Ⅰ-Ⅳm7-Ⅱm7-Ⅴ7]は多くのドゥー・ワップに見られドゥー・ワップ・プログレッションと呼ばれることがある。

「Tiger Rag」
「Sh-Boon」


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2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

はっきり言ってこの時代の音楽は聞けませんね、これはまだロックではないです。ただのノリのいい音楽です。しかし唯一ゴスペルはいいです!なんとも言えない暖かさと深みがあります。(^。^)

yamasan さんのコメント...

しんさまは確か、ヘビメタ系でしたよね。
 私は年代的にもここらあたりが一番違和感なく聴けますね。

 映画の「天使にラブソングを」よかったですね。