2、黒人と音楽
もともと文字がなかったアフリカでは、文学・音楽などが未分化で口承によってそれらを伝える世襲の「語り部」がいた。日本の古代もよく似たものがいた。
その人は族長の伝達、記念する出来事、儀式などに歌を聞かせる仕組みであった。この語り部を「グリオ・Griot」という。
このグリオが代々引き継いできたメロディーやリズムなどがアメリカの黒人奴隷に引き継がれフィールド・ハラーや後のブルースになったと考えられる。
1、フィールド・ハラーとワーク・ソング
簡単に言うと、この音楽は、奴隷としての厳しい共同作業を力づけ、精神的な苦痛を和らげるため、みんなで声をだして歌ったものである。
フィールド・ハラーはもともと一人で歌うもので自由な、訴えかけるような節回しでゆったりと歌われ、裏声やメリスマ(歌詞の一音節に対しいくつかの音符を当てる歌い方)など装飾音を多く使っている。
これに対しワーク・ソングは集団で歌う労働歌で、作業のリーダーが先導する「歌の一節」で仲間をリードし、仲間はそろってリズミカルに歌う、いわゆる「コール・アンド・レスポンス」というスタイルをとることが多い。
奴隷制度の200年も前に黒人が歌われていたこのような歌がそのまま聴けることはないが、歌い継がれた伝統的なフィールド・ハラーを2つ紹介する。
http://www.youtube.com/watch?v=ajSEpNj21Cs&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=isEJIYD7M9g
2、黒人霊歌
白人にこき使われる奴隷としての生活はまことに惨めなものであった。しかし彼らの精神的な救いとなったのは、主人の宗教であるキリスト教であったというのは皮肉な話である。主人の白人もそれを利用したと思われる。
彼らが頼みとしたのは、キリスト教の言う「死後の世界の完全に精神的な幸福」である。その教えに次第に感化されていく。聖書には迫害されたユダヤ人が神の恩寵によって救われていく話が多くあり、彼らはそれを自分らの境遇に重ねたのである。
具体的には牧師の説教を通じて聖書を学んだのであるが、音楽感覚の鋭い黒人たちはその学んだことに対する表現を「歌やリズム」としてあらわした。
彼らのもともと持っている音楽にヨーロッパの讃美歌を重ねあわせ、聖書の教えを身近な事例に置き換えて歌詞を作り、労働の終わりの野外集会などで歌った。「黒人霊歌」の始まりである。
ここでは有名な「Deep Rever」を紹介します。
http://www.youtube.com/watch?v=qyTqTqNDoeo
これも古い黒人霊歌です。「My Good Lord Done been Here」
http://www.youtube.com/watch?v=sf2T0arXfmo
これから発展したスピリチュアル系の音楽も貼っておきます。「Swing Low Sweet Chariot」他、
http://www.youtube.com/watch?v=mxRCefkVBr8
http://www.youtube.com/watch?v=nFMaiyRuD6w
http://www.youtube.com/watch?v=8eiI52WluF0
3、18・19世紀の北米の音楽
1、初期の音楽
最初のアメリカポピュラーソングはヨーロッパ各地の民謡や労働歌を原曲とするものが多い。
アメリカのもっとも古いポピュラーソングといわれている「Yankee Doodle」は18世紀中期にできた歌だが作詞者も不明、イギリスの子守唄が原曲といわれている。
http://www.youtube.com/watch?v=niD-AKpAJNc
また「アメージング・グレイス」もこのころできた宗教歌である。
http://www.youtube.com/watch?v=8U4CgMY2HJ8
2、ミンストレル・ショー
ミンストレル・ショーとは黒人奴隷たちの踊りや歌や訛りの強い言葉を白人の芸人が真似て演技をする一種のバラエティ・ショーで、特徴として白人が顔を黒く塗って面白おかしく黒人の歌や踊りをそっくりに演じるものである。
ミンストレル・ショーの最初は1843年で、その後多くの一座が誕生する。このショーには、黒人の生活や苦しみを美しく描いた若きフォスターが曲を提供し、そのフォスター・メロディーは人気となった。
その後、20世紀に入り、映画やラジオなどに人気をさらわれ、1920年代には姿を消したが、このミンストレル・ショーが芸能界に与えた影響は大きく、様々なアメリカ特有のバラエティーショーとして発展をし、ここから優れた歌手やコメディアン、ダンサーが育った。
3、フォスター
19世紀を代表する有名な作曲家で今なお愛され、歌い継がれている。
フォスターの家系はアイルランド移民の関係でフォスターのメロディーにはアイルランドやスコットランドの香りが漂う。
日本人にも愛されるのはこの地方民謡独特の5音階のメロディーが、昔からの伝統的な音楽も5音階であった日本人の耳にある郷愁を感じさせるのであろう。
いくつか紹介します。「金髪のジェニー」
http://www.youtube.com/watch?v=_1mk_rRzrao
「オールド・ブラック・ジョー」
http://www.youtube.com/watch?v=IA7nve4t1Qw&feature=related
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2 件のコメント:
フィールド・ハラーは聞きましたら、ディープ・パープルのスモークオンザウオーターとよく似ていますね。ロックの曲によく出てくるメロディですね。これがブルースの原点なんですね。納得!(⌒0⌒)/~~
しんさまこんばんわ
なんか偉そうにアメリカポピュラーソングの200年くらいの歴史を曲を貼り付けながら解説みたいなことをしてますが、私自身、こういうのは苦手で実はアメリカのポップスの音楽の発展や系統も知らないんです。
最初に言ったように、勉強するつもりでアメリカポップスの歴史の本を借りてきて勉強しながら、ノート代わりにブログを作っているわけです。
こういうのはしんさまの方が私よりよく知っていると思います。
やがてジャズそしてロックへとノートを書き進んでいきますが、私の方こそいろいろ教えてもらいたいと思います。
しんさまのコメントに応える知識もありません。まあ、このノートが最後まで書けたら少しはお勉強ができてしんさまの話がわかるようになるかな、と思います。
ほんとにノートにメモっているだけですので私の知識と思わないようにしてくださいね。本の受け売りですからね。
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