中世の絵巻物に「白人」としか思えないような人が出ている。この人は何者なのか、謎である。と書いたが、今日はその続きを話そうと思う。
私が小学校の時、多分児童向けの「地理」の本だと思うが、その中で、世界にはいろいろな『人種』がいると、写真入りで載っていた。黒人、そして金髪・碧眼の白人、我ら黄色人種、・・・・そのほかの多様な人種の姿を目にして
『人種』というヒトの中でもさらに別種のヒトがいるのだなぁ
と子供心に不思議に思ったものである。
ところが今日『人種』という言葉はまず使わない。生物学的には人種というのは亜種と考えられていた。
亜種とは互いに交配でき、その雑種も子孫を残せるから「別種」ではない。しかし外形が遺伝的に変わっているある特定のエリアに住む種のグループである。
犬のように人工的に亜種として作り出されたものもいる。セントバーナードとチワワでは同じ種とは思えぬほど外形が変わっているがこれなどは「亜種」であるといってよい。
人種も「亜種」と考えられていたが、人の場合、亜種と思われていた人種の中の白人、黒人、黄色人種は思われるほど遺伝的な変異は大きくなく、亜種というには、全世界に住むさまざまなヒトの地域による変異より、むしろ遺伝的には共通する部分がほとんどである中での、地域による、曖昧な、全体として見れば、例えば色白に偏っている、髪は黒が多い、とかのわずかな変異をグループの特徴として持つ人々の集まり、くらいにしか言えないことが分かってきた。
そのため亜種でもないとされ、人種という言い方も当然されないようになってきた。
このような考え方をこの日本列島に住みついている人々に適応するとすると、確かに昔言われていたような黄色人種に典型的な外形を持つ人々は多いけれども、それは固定したものではない。皮膚の色、髪の色、髪の形状(縮れなど)ではかなり広いばらつきがあるのである。
目の色(虹彩の色)ではこの日本列島に住む人々、まず、全部といっていいほど茶~黒茶と思うが、実はそうでもないのである。
昔から北日本(北海道、北東北)にはいわゆるアイヌ民族(人種ではない、アイヌ語をしゃべる人々のグループである)がいるが、この人々は、全体的に立体的な顔立ち、明色の皮膚、波状の毛髪、茶色っぽい髪の色、体毛が多い、というどちらかというと白人ぽい形質を有していた。
それだけにとどまらず、このグループの人々にはかなりな割合で目の色(虹彩)が灰色~緑が現れる。また頻度は少ないが青い目も存在する。(遺伝的病気のアルビノ・白子ではない)
このようなアイヌ民族の人々を見て、明治の初年に日本に来た欧米人はアイヌ民族は白人の仲間であるとの説を唱え、それに同意する欧米人が多かったのである。(今日では白人との遺伝的な近親関係は否定されている)
ということは、歴史時代、東国や東北地方など、アイヌ民族の本拠に近いほど、白人っぽい形質を有する人が多くなるのは頷けることである。
そのように考えると、中世にこのような人がたまにいたところで不思議ではない。
いやいや、そうではなく、もしかして何人かの人々が西域(具体的にはペルシャ以西・ヨーロッパも含め)からこの日本列島に歴史時代になって何かの事情で流れてきたのではないかとの考えもありましょう。
全くあり得ぬと否定するつもりはありませんが、そう考えるよりは、日本列島の北方にすむグループの外形的な体質のかたより(いわゆる白人っぽい)に説明を求める方が可能性としては高い気がします。
まとめると、現生人類は人種のような「亜種」で区別できるほど変異は進んでいません。東アジアに住む大まかな体質的類似性の高いグループにも地域による偏りもあり、白人っぽい人もいるし、また、中にはアフリカにすむグループに似たいわゆる黒人っぽい人もいます。様々です。
亜種として固定するには現生人類がアフリカを出てせいぜいまだ10万年くらいです、それに結構、ヒトは他地域のグループと性的な交流を重ねています。そして隔離もされていないし、血統書付きの犬のように純血を作るため近親交配などもしません。
むしろヒトは自分と違う形質を持ったヒトと、妙に交わりたがります(もちろん性的に)
だから今までも、これからも「人種」としてテリアやチワワのように固定した種などはできないでしょう。
ところで皆さん、我々の直系の祖先となる現生人類(ホモサピエンス)の故郷はアフリカといわれています。アフリカの地溝帯といわれる地域で旧人(ネアンデルタールもその仲間か)の中から20万年ほど前に誕生しました。それらの人々はどんな顔をしていたんでしょうかね。
アフリカ人だから黒人だ。でしょうか?アフリカ人といえば黒人と思われましょうが、アフリカ人も地域による変異が大きく、黒人っぽい人よりむしろ我々のアジア人に近いグループもいます。
下はいわゆるブッシュマンのヒトですが、黒人の特徴よりアジア人の特徴に近い気がしますね。(肌は黒より褐色に近い、顔もアジア人のように平たい、また華奢な体つきをしている。典型的な黒人よりずっとアジア人に近い)
そして下は20万年ほど前、誕生した現生人類の復元顔写真です。どう見ます?この人々がアフリカからユーラシアに広がり、地域差による特徴がでた人々、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア人の祖先になったのです。
私は、独断的に出アフリカの現生人類の祖先グループの体・顔の形質をもっともよく保っている人々は現代のニューギニアの人々ではないかと思うのですがどうでしょう。
下はニューギニアのヒト
なんかみんな「懐かしい」顔をしてると思いませんか。
2 件のコメント:
う~ん。20万年前のホモサピエンスはこんな顔してたんですか?確かにアジア人に近いと思いますが、こんな黒い人が寒いところに移住したからと言って、肌が白くなったり、目が青くなったりするんでしょうかね?移住開始が5~7万年前ですから、なおさらですが、そんな短い間に金髪になる位ならわかりますが、イギリス人のようなカッコいい顔になったり、モンゴロイドのようなのっぺりした顔になったとは、とうてい思えないですね。きっと宇宙人による遺伝子操作でしょうね。その方が現実味があります!?ヽ(^。^)ノ
絵巻の白人顔の人のもう一つの可能性もあえて考えてみました。つまり海外流入説。
金髪碧眼の白人がアジアではどこまで分布してるか見ますと、古代においては中国の楼蘭あたりまでは白人が住んでいたようです
楼蘭といえば長安(西安)のほんのちょっと西、そこまで白人が分布してるからアジアのかなり東まで来ています。そこから日本列島はそう遠くないのです。
これらの人々は遊牧民が多いです。またここに住む人々は西域の音楽、舞楽が得意で唐の時代長安はこれらの人であふれかえっていました。だからこれらの人々が遣唐使と一緒にジプシーのような遊芸人として渡来してもおかしくはないわけです。
それらの人々の子孫はだから白人っぽい顔になりますよね。
こっちの説の方が歴史ロマンとして面白そうですね。
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