緑の募金

　駅を下りて歩道に出るとそこで大勢が寄ってたかって寄付を集めていた。

　「何の寄付だろ」

　中学生の子が主体で集めていたが黒スーツの大人がたくさんいる。一目で公務員か公社員とわかりそうな雰囲気の人たちである。中に見たことある顔が・・・

　「あ！知事だ」

　私などのような身分の者が知事のそばの募金箱に恐れ多くて近づけない。周りの人も尊大すぎて恐れ多くて近づけない。

　まして今のやまさんの経済状態から許せるだろう10円玉一枚など恥ずかしくてチャリンと入れられない。

　そそくさと隠れるように通り過ぎようと思ったら、可愛い少年が、はいこれ、どうぞといって緑の羽が挟まったポケットティッシュをくれた。

　花粉症で鼻がズルズルいっているので遠慮なくもらい、鼻を『チーン』とかんだ。