山際の道を歩いていると、道の端の山手の斜面に鬼百合に似た花が咲いていた。百合の仲間ではなく、「アマリリス」である。花の形は似るが、こちらはユリ科ではなくヒガンバナ科、秋の曼珠沙華(ヒガンバナ)や水仙と同じ分類に属する花である。
派手で美しい花である。外国原産(南米)ではあるが、栽培はそう難しそうでなく、道の端にあるこのアマリリスは自然に花壇から半野生に広がったようである。
アマリリスを見ると大昔、小学校の時縦笛でアマリリスを吹いたのを思い出す。曲もみじかく、メロディーもいたって簡単、縦笛(リコーダー)を初めて吹き始めた小学生の練習曲にもってこいだったのだろう。
「ソ、ラ、ソ、ラ、ソ、ラ、ソ~」
歌もついていた。
「みんなできこう、楽しいオルゴールを~」
この曲、お世辞にも上手に作曲したとはいえない。
それだからこそ、小学生の練習曲になった。おかげで、この下手くそな曲がみんなに知られる曲となっている。
大きくなって知ったが、この曲の作曲者はなんと「ルイ13世」フランス国王陛下、王様が手慰みに作った曲であったのだ。
王者は芸術のパトロンとして芸術の発展に寄与する。しかし、自らが作品を作り、それが素晴らしい出来となり、芸術に貢献するか、というと、そういう例は古今東西数少ない。
ルイ13世の作曲した「アマリリス」も数少ない例外とはならず、凡庸な(というか恥ずかしいような)出来となっている。
ルイ13世は太陽王として絶対王政の絶頂期に君臨した14世ほど有名ではないが、「三銃士」の王様といえば思い出す方もいられるであろう。もっとも権力者としては宰相のリシュリューの方が有名である。
この時代、「王権神授説」が絶対王政のイデオロギーとなっていた。王の権力は神から授かったもので神聖不可侵であると。
権力・富も独占し、音楽的才能まで神に神授されていたなら、
「神様、そりゃ、あんまりな・・・」
しかし、このような凡庸な曲であったことで、ま、納得しましょう。
2 件のコメント:
アマリリスから絶対王政ですか・・・。すごい発想ですね。勉強になります。
私はヒガンバナ科と聞くとモルヒネを想像してしまいます。
最近結構お世話になったような気がします。母親もなくなる数年位前からよくお世話になっていました。困ったときの神頼み的な物ですが、牛乳の中にもモルヒネ様ペプチドがあることが報告されていますし、小麦やコーヒーにも含まれているるようです。ならばなんでそんなに規制するのかなですが、習慣性ということであれば酒もたばこも同じですよね。はやくマリファナくらいは解禁してほしいです。吸ったことないですけど。オランダでは喫茶店で売ってるみたいですし・・・。繊維は優秀で、栽培はエコロジーなのにな~。
実は我々が持ってる常識に反する話を聞いたことがあります。
モルヒネはアヘンから精製されるんですけど、アヘンの吸引は中毒を起こし、廃人になるといわれています。しかし、中国にはアヘンを習慣的に吸引し、80歳を超えても健康で毎日楽しく、吸ってる爺ちゃんがたくさんいるそうです。いわく
「適度の、アヘンは健康のもとじゃ」
ヨーロッパ史を勉強してると、
「え、こんな文化人、有名人が、アヘン吸引を!」
という驚きの人がたくさんいます。
ここだけの話ですが、「脳梅毒」と「アヘン」は、実は天才的活動を引き起こすんじゃないかとにらんでいます。
こんな話を聞くとアヘンってほんとはどうなんだろと思います。もしかして最高の媚薬・回春薬・強壮薬かもしれません。
ちなみにヒガンバナ科の植物にはアルカロイドといわれる成分が含まれているのが多いです。大抵は毒と言われてますが、ほんとは毒と薬の境界はあいまいなのでわかりません。
けしはケシ科です。
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