今日は文化の森の県立文書館へ行って逸品展を見た。
テーマは『江戸時代阿波人の見た世界地図・日本地図』である。
その中で江戸時代に海外事情を知る手立てとして発行されたある本をご紹介します。
『万国新話』
写メールでガラスケースに入っている本を直接撮ったものですので、見にくいですがお許しください。
説明文も読めると思います。寛政12年(1800年ちょうど)、今から211年前である。
海外渡航も禁止されていた日本ではあるが、このような本を手にしてこの絵や説明文を読んだ人がいたのである。それも幕末まではまだまだ60年近くある18世紀最後の年に。
この広く出版された(木版刷りだがそれでも初版で500冊くらいは刷ったのではないか)本の、いわば、あまりにもの超モダンさにびっくりしました。
ちょっと説明しますね。この絵のタイトルの横書き文字、江戸時代は右から左へ読みます。
「地中海・・」これは今の地理表記と同じわかりますね。
次の「楽徳嶌・・」、さてなんでしょう?「嶌」という字は山と鳥が合わさった文字の旧字体で「島」です。「楽徳」は普通に読めば「らくとく」なんですが江戸期「らう」で「ロー」と発音したこともあって結論から言うと、これ「ロード」または「ロードス」に近い発音とみてください。
「え、それは無理じゃって?」
「しかし英吉利とかいてイギリスですからね。まあそう読んでください。」
で「ロードス島」の港口にある鉅銅人つまり、港の入口にある巨大な青銅像という意味です。
これ紀元前の地中海世界で言われていた「世界七不思議」一つなんです。エーゲ海に浮かぶ島、ロードス島に実際あったそうです。
下は想像図です。
この江戸時代の本のオリジナルはオランダから渡った洋書だと思います。次のようなものではなかったかと思われます。
もちろん江戸時代の人で見られるのは最初の和本の木版画ですが、ではこれを見てなんと思ったのでしょう。
この時代、絶対旅することのできぬエーゲ海、しかも紀元前の世界。
その気の遠くなるような「空間」と「時間」の隔たりは、江戸の人にとってわれわれが想像する何万光年離れた世界や異次元の世界と同じもの。
この本を手に取ってあれこれ想像した江戸人、われらよりもしかしてずっとロマンティストでモダンな感覚を持っていたのかもしれませんね。
2 件のコメント:
幕末の開国と、現在は結構ダブるような気がします。江戸の人のロマンスと、現在の地球人のロマンスとは似てるな~。
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