私が生まれた日、その電波はどこにもなかった。二年後、その電波は飛び始めた。
走査線525本、毎秒30枚、もちろん白黒の画像。4対3の長方形画面と云いながら、ブラウン管を通して見る映像は、やけに丸みを帯びたものだった。
私はまだ2歳、見た記憶はまだない。たぶん東京、大阪中心しかサービスはなかったはずだ。記憶にあるのは小学校1年生の時、近所の元町長宅(当然、金持ちだ)へ、たくさんの近所の人たちとそのテレビ受像機を見せてもらいに行ったのが初めてだ。
なんの番組だったかは覚えていないが、家にいて映画のような画像が電波で見られるというのが驚きだった。この時の驚きは大人も子供も同じであろう。なんの番組かというよりも、ブラウン管に映り動く画像に魅了された。
小学校の4年生くらいになると、人気の子供番組も放映されるようになったが、高価なテレビ受像機はまだまだ普及していなくて、裕福な家に見せてもらいに行っていた。子ども心に
「テレビがうちにあったらいいなあ。」
と思っていたが、祖父母に育てられていた家に余裕はなく、家に親戚からもらったテレビが入ったのは中学3年になっていた。
それからテレビはカラーに変わるが、昭和28年に飛んだ電波と同じものが平成になってもずっと飛び続けている。
今、もし昭和28年当時の上のイラストにあるような丸っこい画面の白黒ブラウン管受像機があったとしたら、今飛んでいるテレビを視聴することが可能であることからも、まだテレビ創業当時の同じ様式の電波が飛んでいることがわかる。
その電波もあと一か月もない7月24日で消える
「地デジの準備はお済ですか?」
うるさくテロップやスポットCMで流れる。
チューナをつければ旧来のテレビでも見えるとはいえ、いったいどれだけの旧式テレビが廃棄されたことか。
昭和30年代、欲しくて欲しくてたまらなかった夢のテレビ受像機!その大量廃棄。
「日本人はずいぶん金持ちになったんだなぁ」
「使えるテレビを無理に使えなくする、電波の廃止。それを唯々諾々としてうける人々。」
「ああ、日本人って従順じゃな。貧しい国だったらどうだろう、かつかつの生活でようやく手に入ったテレビを見えなくされたら、暴動だって起きるだろう。」
何をいってもいまさらせんないこと。
地デジの準備は一切していない。電波が消え去るとともにテレビは見ないことにしている。
PCのお絵かきソフトをいらって、18歳のやまさんが出ているテレビ画像をアップしました。このたっぷりのふさふさ髪よ~く見てくださいよ。
そういえば私、26歳の時TV出演しました。いっときますが悪いニュースじゃないですよ。
7月24日に電波は消えるが、考えれば宇宙に向かった私の出演した電波はまだ34光年しか達していないんだね。
アンドロメダ銀河系まで230万光年だから・・・・・・・
な~んだ、わたしの出演の電波画像ほとんど永遠といっていいほど消えないんだ!安心!
2 件のコメント:
やまさん地デジ見ないんですか?すごいこだわりですね。
やまさんのTV出演の電波は34光年先にあるんですかね?
そこは、ふたご座のボルックスのようですが、織姫と彦星の間の距離も34光年みたいです。太陽と彦星(わし座のアルタイル)との往復が34光年、太陽と織姫(こと座のヴェガ)の距離は26光年、いろいろ数字があっているような気もします。七夕が楽しみですね。
光の速度と「時間」・「空間」の関係は高校時代から繰り返し繰り返し勉強し、把握に努めましたがいまいちわかりません。楔さんなんかが詳しいかもしれませんね。
ちなみにこのあいだから私がよく引用する「西方極楽浄土」は十万億土離れているそうです。暇な人が計算したら10京光年あるそうです。
こんなへだたり意味あるんですかね。
七夕は旧暦ですることをお勧めします。新暦の77は梅雨の真っ最中でこれでは二人はかあいそう。
それにちょうど旧暦頃に夏の大三角形(七夕星も含まれる)も上空にくるからね。
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