沖縄では早々と梅雨が明け、真夏の晴天が続く日が多いと聞く。青森から北も梅雨がなく、明るい晴れた日が多い。北海道がそうである。
しかし、北海道のどこでもそうかというと、北海道は広く、その上いくつかの山脈で区切られていて、特有の気候を持っている地域もある。道東の根釧平野から根室半島にかけては、この時期「海霧」が発生する。
かなり濃い乳白色の霧で、それは海に発生し陸にやってくる。海霧は薄いシート状で地表から100メートルぐらいしかない。これに包まれると太陽は遮られ、ひどい時には牛乳の中にいるように視界が悪い。
気温も下がる。釧路の7・8月の平均気温は18度くらいで、平地では日本で一番夏の気温が低い(ロンドンの真夏と同じらしい)
この根釧原野にあるもっとも大きな町は釧路であるが、昔から「霧の都」と呼ばれたりしている。ロンドンも霧の都と言われているが、釧路は「海霧」で霧の種類が違う。
釧路が海霧で覆われると何もかも白くなり数メートル先も見えなくなる。震える寒さと、横から漂う霧のミストを避けるためレインコートが欠かせない。
地元で暮らす人は大変だが、我々のような暖国の旅行者には、真夏、肌寒くてコートの襟をたてながら白で閉ざされた街を歩くのは何とも言えぬ郷愁を誘うもので、北国のロマンの一つであろう。
夏至の今日、思いもかけず、沖の洲は海から這い上がる「海霧」で覆われた。
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