晩春をいろどる花木も流行があるようで、最近やたらと「ハナミズキ」の名を聞くようになった。正直に言ってこの花のことはあまり知らなかった。
私のような古い人間はこの時期の花木といえば、藤や椿などを思い浮かべるが、今、ハナミズキはこれらの古い花以上に世にもてはやされているようである。
新聞、TVなどで頻繁に取り上げられている。ちょうど今の時期、木に大きな花をつけ色も白や薄紅で美しく、目立つからなのだろう。
「こんな花昔からあったのかな、私が若い頃、聞いたことなかったがなあ。」
と思うのも当たり前、明治も遅くなってからアメリカから移入されたそうで、新参の花木である。この移入も大都市が中心で数も少なかったのであろう、我が郷土には私が幼少の頃にはほとんどなかったはずだ。
今日の我が郷土の田舎新聞に
『小松島市の花、ハナミズキが 見頃を迎えている』の見出し。
「え~っ、断りもなく、いつから、誰が ヘラ~ッと市の花にしたんじゃ」
普通、地元を象徴する花は伝統的な昔からある花を選定しそうなものだ、と思うのだが、昭和53年に一万本を移植して、それからだそうである。
「ま、小松島の進取の気性、モダン、ハイカラ港町を表すというため、あえて、新参のアチャラ(北米)の花を選定したんでしょうな。」
今日は他にもTVが徳島裁判所の歩道に咲いたハナミズキが、とっても美しいと、アナがのたまってましたわ。
それにしても、これほどのもてはやしよう、ちょっと浮かれすぎでないか、と思っていたら、純然たる花のみの鑑賞から生まれたもてはやしではなかったんですね。
インターネットをいじっててわかりましたわ。一青窈の「ハナミズキ」の歌と詩、それにその主題歌の映画「ハナミズキ」がヒットしたんですね。読ませてもらい、聴かせてもらいました。いい曲ですね。
なるほど、み~ちゃん、は~ちゃん、キクちゃんが「はなみずき」を好むのはその影響があったんですね。
ところで私の頭に「ハナミズキ」が印象付けられたのも、み~ちゃんらとあまり変わりのないお騒がせ事件でした。
2年前の秋も深まったころ、長期の逃亡、整形手術での変身で注目の英会話講師の殺人犯が捕まり、かなり大きなニュースになりました。この男が、詩のようなものを録音した肉声が繰り返しTVで流されました。
「ハナミズキ、夏には白い花が、秋には赤い実が・・・・」
ハナミズキを見ると、み~ちゃん、は~ちゃんは、一青窈のハナミズキの詩を思い浮かべ、私は殺人犯のハナミズキの朗読を思い浮かべる。
こんな連中は詩をもっぱら鑑賞するしかできないんでしょうね。
無心にして心を空白にして、ハナミズキを見て感動する人が詩を書ける人なんでしょうね。
さっそく、思い立ったが吉日とばかり、4キロ離れた小さな山の公園にハナミズキをゆっくり鑑賞するため登りました。だれもいない丘でたっぷり愛でることができました。
一青窈、この一青、恥ずかしながら読めませんでした。一青で「ひとと」という姓なんですね。加賀県に実際ある姓だそうです。
「窈」は音読はできました。幼が形声を構成してますからね。この文字どこかで見たことあるが、思い出せない。熟語で「窈窕」があると知り、思い出しました。
高校で習った漢詩の「詩経」の四言古詩にでてきたんだ。テキストの1ページめにドドンと出てきているから、難しくても覚えてた。「窈窕タル淑女ハ・・・」
「窈」は、細くてしなやかなさま、の意味があり、これは女性の美の一つになりますから、名前の文字としてはいけますね。
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