今日忙しい友人に頼まれて砂時計を買った。時計と言っても文字盤の表示があり時間を刻んで刻々計れるものではない。1分、3分、5分などそのひとまとまりの時間の経過だけを計れるものである。
私が頼まれたのは3分の砂時計なので、用途はよく聞かなかったが、即席麺をふやかすのにでも使うのだろう。砂時計はせいぜい60分の計測が一番長いのかなあと、昔は思っていたが、20年ほど前、山陰を旅行した時、島根県の仁摩町の博物館で1年かかって落ちる砂時計を見た。
世界最大と言っていた。見上げるほど大きなもので六分儀のような機械装置に挟まれたそれは、宇宙の裏方にある、この世の森羅万象すべてを回し支配する『時を廻らす機械装置・ガジェット』のようなファンタジーを感じたものである。
砂時計は時計の中でも古くからある部類に属する。機械時計は13世紀ぐらいからだろうが、これは紀元前からあったようである。
大まかな時の経過しか計れぬものは、古代中国や日本にもあって、火のついた線香だったりロウソクだったりした。
しかし、いろいろある時計の中で、私は砂時計がもっとも視覚的に時の経過を表すものであると思う。人はなぜか時を「流れ」でとらえる。
さらさらと落ちて下に流れる「砂」は「時間」そのもののようでもある。砂時計のなかでさらさら落ちる砂の一条はまさに時間の流れである。
『時の流れ』 『流れ去る時間』 ・・・・・・・
話はちょっと変わるが、私は砂時計と聞くとある歌を思い出す。私の年代のものにはこういう人は多いと思う。
それは『シバの女王』(サバの女王)である。
もう、最後のフレーズは頭にも耳にも焼き付いています。
「あなたがいないと、生きる力も、失われていく、砂時計」
時の流れをつかさどる機械装置・ガジェットである「砂時計」が失われたら、時間のない世界に踏み入ってしまうかもしれない。死者の世界か?確かに、生きる力もうしなわれるわな。
私は理系の頭はしていない。「時間」という物理単位がいかなるものか論じることはできない。しかし、物理の次元数のなかで「時間」は論ずるにあたってもっとも自由度が高い気がする。
いいかえると、「時間」は哲学的にも、文学的にも、宗教的にも、もっと身近に生活のなかででも、それは意味を持ち、厳密な定義はなくても、ある意味を指し示し使われる。
ようするに、「時間」を物理学者の定義になどまかせないで、各人、「時間」について一家言あってもよいということである。
そこで、以下は私のファンタジーなのでそのつもりで・・・・・
仏教の宇宙観によれば宇宙は我々の住む一つだけでなく、たくさんあることになっている。曼荼羅の宇宙によればよく「三千世界」といわれるが、これは無数を意味するとみてよいだろう。
全く独立した宇宙ということは、空間も時間も閉じていて、その宇宙からは絶対出られないし、他の宇宙を認識することすらできないものである。
つまり時間に関してはその宇宙宇宙ごとの時間があることである。先の砂時計を固有の時間と例えるならば、一つの宇宙に大きさも流れおちる砂の速さも違い、また落ち始めの起点も全く違う砂時計が各々宇宙宇宙ごとにあることになる。
我々の宇宙の持っている時間は過去から未来へ一直線につづく一本の線分である。しかし各々の宇宙の時間は線分の長さも違い、また方向も違うかもしれない。もしかすると曲線かもしれないし、円や楕円のように閉じたものかもしれない。
他の宇宙の時間の性質など知りようがないのだが、多宇宙を考えたときから、それはたった一本の線分の時間でないことは確かである。
もしそうであるなら、時間の次元は直線でなく、平面に広げられなければならない。平面になればカンバスに油絵を描くようにどんな奇妙な性質を持つ「時間」でも刻むことができる。
たった一本の時間の直線から、平面にするにはどうしたらいいのだろうか?
文系の頭でもこれは考えられる。高校の数学Ⅰで数直線を実数に見立てたのを思い出した。たった一本の直線に負数、小数、無理数、π、超越数、が入る。これらはすべて実数である。しかし解析の必要上から「虚数」を導入すると、
なんと!数直線は全く次元を新たにし、平面が作られるのである。複素平面とか、ガウス平面とかいうのがそれである。それにより数学がより深化し発展したのは言うまでもないことである。
そう、そのように「虚数時間」を考えることにより、多くの宇宙のそれぞれの特徴ある時間が考えられるのではないだろうか。
異なる宇宙を客観視できる次元を設定するための「虚数時間」軸である。
面白い「時間」の空想は自由に飛翔する。そのようなファンタジーの世界に純粋な「虚数時間」の砂時計があるのかもしれない。
1 件のコメント:
砂時計って、最近はサウナでしかお目にかかりませんが、カップラーメンに使うとは意外ですね。百均でタイマー買ったほうが安いけど、砂時計のほうが品と風情があっていいですね。真似しようかな~。ところで、時間のことですが、実は私も一ヶ月前から時間に関しては、NHKの番組の「Q~わたしの思考探究~」の「時間とは何か」で、最後の5分間だけ偶然見て興味がわき、再放送を予約したら震災で放送されないままになってしまって残念でしかたがない状態です。
そんなことより、やまさん目茶苦茶理系ジャン。というか文系と理系をわせ持つスーパーマンやな。ちょうど複素数みたいですね、実数部と虚数部を併せ持つ人間複素数っていう感じですかね。ちなみに私の場合、二乗してマイナスになるということを定義された時点で、思考が停止してしまうほど数学音痴です。
コメントを投稿