空気は乾燥し、空は明るく輝くような青空だ。その空に呼応するかのように、海の色がライトグリーンからライトブルーまで沖合にかけて微妙に変化している。高校の化学教科書に載っていた何かの試薬の反応色一覧表のグラデュェーションみたいだ。
白波が河口に向けて押し寄せている。河口というより海そのもの、少なくとも海峡ぐらいはある大きな広がり。
はるか向こうに松林の海岸がある。
「あそこは、小松海岸だろうか。ずいぶんむこうだな。」
自転車でここまで来た。あそこまで行けるだろうか。そう考えたら、無性に行きたくなった。大きく迂回して行くのだけれども、相当な距離がある。体力のない身で自転車で行けて、帰ってこれるだろうか。
いったんはあきらめかけたが、蜃気楼のようにはるか向こうにみえる海岸が、なにか現実の世界ではないような気がしてきた。そう思うと
「よし、行こう。はるか向こうのくが(陸)になにかまってるかもしれない。」
自転車で堤防の道をとりあえず西へ向かって進み始めました。
つづく
1 件のコメント:
そこのテットラポットの先端は、私もたまにいくスポットです。紀伊水道を独占したような気分になり、心が波音と潮風で癒されます。しかし、自転車で行くとは・・・敬服です。
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