蔵本駅を降りて左の方、線路沿いを東にとると細い消え入りそうな道がある。もちろん車どころかバイクでさえ通れないだろう。人がようやくすれ違える道である。そこを通って線路に沿って行くと東の第一踏切に出る。そこまで出ると田宮川が見えてくる。
今日は梅雨のような天気で、昼過ぎでも黄昏時のように光は強くない。そのような陰鬱な天気のもと、朽ちたような枕木を立てた柵のある線路沿いの小道、そして古い家並みを見ながら歩いていると遥か昔の街中を歩いているような錯覚を覚える。
第一踏切を渡らず、今度は川の方を目指すと
「おや、舗装もしてない砂利道がつづいているぞ。」
道とも私有地とも判然としないカギ状の土地を曲がると川沿いの道に出た。
その手前に、何やら祠がある。鋳型でつくったコンクリ製の粗末な小さなお社で、ぼうぼうと生えた草木に埋もれ、傾いている。
よくみると狸の祠である。横に説明板があり、読むと「まつひらさん」という狸である。
むかし、ここらは田宮川の川浜であったのだろう。ここの地名が「油浜」となっている。ここを本拠にした「おタヌキさん」である。子供が大好きで、一緒に相撲を取ったというから、親しみやすい、愛嬌のある狸だったようである。
鉄道の鉄橋が見えるがその左の岸の手前に祠がある。
なおも川沿いに歩く。
田宮川沿いの小道
蔵本駅から佐古駅近くまで田宮川に沿って(最後の写真が佐古駅近く)歩いたが、出会った人はおばあさん3人だけ。
この上記の写真の辺りは人っ子一人いない。この手前は鉄道の高架になっていて、その下の小道は薄暗くずいぶん無気味であった。両側に生い茂った草も伸び放題。
と、ガサゴソ、ガサゴソ
「なんだ?」
白と黒のブチ猫がのそっと出てきた。
今でさえ田宮川沿いの道はこんなにさびしい。まして、大昔なら・・・・・
「タヌキがいて人を誑かすこともあっただろうなぁ~。」
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